ただ、TWICEは日本での人気は堅調で、最近のロンドンとパリ、ベルリンなど3都市のツアーではチケットが売り切れるなどグローバルな人気を保っている。だが、メンバーの一部の急激なビジュアルの変化や恋愛スキャンダル、曲のクオリティの低下なども指摘され、韓国のファン人気は新興ガールズグループに移りつつある。TWICEは海外活動に重点を置こうとしているのか、最近日本人メンバー3人で構成したユニットMISAMO(ミサモ)が日本デビューした。日本とアメリカ、オーストラリアなどでワールドツアーを行うという。

 2010年代半ばにデビューしたSMエンターテインメント所属のRed Velvet(レッドベルベット)も厳しい。メンバーの一部が30代に入り、昨年11月を最後に新曲が出ていない。メンバーは韓国内でソロ活動に入り、TWICEのように海外ツアーに移っていくようだ。

 新興ガールズグループの人気急上昇に反して、ボーイズグループへの反応は冷ややか。BTSに代わるグループは見当たらない。BTSが国内外で人気を独占した反動ともいわれる。ここ数年間、メジャー事務所を除き、業界ではボーイズグループの育成に乗りだせなかった。「どうせデビューしてもBTSに勝てない。BTSが活動中止するまではガールズグループに力を入れる」という動きがあったようだ。この状況が現在のガールズグループ戦国時代を生み出したといってもいい。

 しかし勢いづくガールズグループにも「7年賞味期限」の壁がある。それがこれから5年以内に起こる。

 韓国の芸能事務所はデビュー後7年を標準期間としてアイドルグループと契約を結ぶ。しかし、契約期間終了後にメンバー全員が再契約をした例はほとんどない。これはアイドルの「7年賞味期限」と呼ばれる。

 かつての「東方神起」や「KARA」もこの7年賞味期限を克服できず、再契約に失敗(KARAはその後、2022年にメンバーの一部で再結成している)。最近でもBrave Girls(ブレイブガールズ)とMOMOLAND(モモランド)、宇宙少女などが7年賞味期限を越えられなかった。TWICEと同時期に活動をはじめ、人気を得たガールズグループだ。解散したりメンバーが脱退したり、あるいは専属事務所が変わったりなどの混乱に巻き込まれている。

「人気絶頂の新興ガールズグループもこれからが正念場。どこが白旗をあげ、海外活動に軸足を移していくか……」

 先輩記者はそう語る。

(現地ジャーナリスト/ノ・ミンハ)

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