そして相撲界の「聖域」に踏み込んでいるところも沢山ある。それが本当にあったかどうかわからないし、物語の中に出てくる、とある「八百長」の話の部分。僕の知人(元相撲関係者)は「ドラマはめちゃくちゃおもしろいけど、ああいう部分をリアルと受け取られると、複雑な気分になる」とも言っていた。
とんでもなくおもしろくて爆発力のあるものって、時として人を悲しませたり、嫌な気持ちにさせてしまったりすることもある。作り手はその覚悟をもってやっていると思う。これはそういう作品であると思う。その覚悟のうえで作られているこの作品。こんなドラマ、なかなか見ることが出来ない。
そして、これはアップデートされた極上の激しすぎる青春ドラマでありながら、メインキャラクターの家族とのいびつすぎる「愛」が描かれたホームドラマでもある。
あ、最後に。岸谷五朗さん演じる親方の役。「あれってモデル、貴乃花だよね~」とか思わず言いたくなってしまう、そんなスキャンダラスさも見え隠れするのがまたいい。

僕が企画したダンプ松本さんの人生をドラマにしたNetflixドラマ「極悪嬢王」は制作中ですが、この「サンクチュアリ」を見て、ただ一つ思ったことは。こんなおもしろすぎる作品を…超えたい。
こんなドラマ、作ってくれてありがとうと言いたいです。女性の方々も是非見ていただきたい。
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。