■15分話せば

佐藤 片岡先生が普段担当している患者は、延べで何人ぐらいになりますか。

片岡 だいたい700人ぐらいです。私は女子医大の他によその病院にも行っていますので、常時診ているのはそれぐらいですね。

佐藤 それはすごい数ですね。午前・午後診療のとき、患者は何人ぐらい入っているんですか。

片岡 9時から5時までで3、40人です。たとえば40人の患者さんを入れていたとして、診察が8時間だとすると、1時間に5人です。そうすると1人の患者さんに12分しか取れません。忙しいときは1人あたり10分取るのも結構むずかしいです。

佐藤 患者が診察室に入ってくる前に、カルテや検査結果を見ないといけませんからね。

片岡 そうです。感覚としてはやっぱり10分ではきついなと思います。15分ぐらいあれば、みなさんをしっかり診られる感じはあります。その場合は1時間に4人。それだとたぶん病院は儲からないんですけど。

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佐藤 私は、長いときで30分ぐらい先生とお話しすることがありました。これはおそらく他の患者さんも同じで、当然のことながら患者1人1人が待つ時間は長くなりますが、30分という時間は日露首脳会談や日米首脳会談といった「会談」の単位の1つです。ようするに、首脳同士が30分話せば「会談」ということになる。

 ただし、首脳会談には通訳が入ります。だから実質15分なんですよ。15分話せば、外交の世界では会談です。これは裏返せば、15分あればお互いをかなり深く知れるということですから、場合によっては診察の中で30分も話すというのは、患者からすれば本当にきめ細かい対応です。

 片岡先生は患者のプライベートな情報、「この人はこういう人」ということは、みんな把握されていますよね。

片岡 どこに住んでいて、通院に何分かかるとか、実はそういうことがわりと大事で、遠くから通院している患者さんは、やはり通院の間隔を空けてあげなければいけません。そういう形で、いろいろと考えつつやっています。

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