5月17日に17thアルバム「ひみつスタジオ」を発売、6月3日から全国ツアー開催予定のスピッツがAERAに登場。今年35周年を迎えたAERAと“ほぼ同期”のスピッツの4人に「長く続けるために必要なことは何か」を聞いた。ずっと変わらない、そのために続けてきたことがあるという。AERA 2023年5月29日号の記事を紹介する。
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スピッツを聴くと思い出す。全力でチャリをこいでいた中学生の頃。サビの高音が出ず、声を裏返しながら何度もメロディーを口ずさんだ。何かいいことが起こりそうな予感がした。同時に、日常から離れてふらりと遠くに行きたくなる。いつも不思議とそんな気分にさせられた。
今年でデビューから33年目。その音楽は今も少年と青年、そしてかつて子どもだった大人たちの心も掻き立てている。
「古びないとか、エバーグリーンの曲を作ろうと狙ってるわけではないんですよ。とにかくいつも最新のスピッツを届けるっていう姿勢でやってます」(草野マサムネ)
ここまで続けてこられたのは、「幸運に恵まれたおかげ」と話す。
「メンバーとスタッフ、ファンの皆との出会いもそう。いろんな人がお膳立てしてくれたから」(草野)。そして「あんまり遠くを見ないこと」だそうだ。
「その都度やりたいことをやっていたら、いつの間にかここまできた感じ。最初はライブをやること、次にアルバムを作ること、アルバムができたら、『じゃあツアーをやろうか』って」(田村明浩)
「ずっとその繰り返しだよね」(崎山龍男)
「うちらは曲を作る、ライブをやるってことしかできないから」(三輪テツヤ)
「目の前のやりたいことを実現していくなかで、それがインプットになって、次にやりたいことがまた具体的に見えてくる。ただ、世代的なものもあるかもしれないけど、80年代ってバンドが楽しいことの象徴だった。その気分はずっと核にあって、今も全く変わらないですね」(草野)
自分たちの心の喜びに忠実に耳を傾け、音楽を作る。やっていることは昔から変わらない。だがその積み重ねが、時代を超える音楽を生んだ。(ライター・澤田憲)
※AERA 2023年5月29日号