「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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大阪府豊中市。私たちローソンが1975年6月14日に日本1号店「ローソン桜塚店」をオープンした町です。
その豊中市にある千里中央公園内の旧公園管理事務所をリノベーションして設置された施設「1000RE SCENES」に、ローソンとして関西初のアバターがいるミニショップ「パークローソン千里店」を3月末にオープンしました。無人店舗で、遠隔操作によりアバターさんが接客しています。
千里中央公園と言えば、吹田市の万博記念公園とともに70年の「大阪万博」の際に再整備されたエリア。大きな公園で、その管理事務所棟もまた大きく立派なものでした。リノベーションした結果、ローソンの他にもイタリアンカフェやコミュニティスペースなどが入り、新たな賑わいを見せています。
もともと、小さいお子さんを連れた方やゆっくりと散歩をされている高齢の方など老若男女が集う雰囲気のいい公園。そこにアバターさんがいる小さなローソンができたことで、ささやかな楽しみもご提供できているようです。
たとえば、高齢者の方などお店で直接クルーさんに声をかけるよりも、かえってアバターさんの方が話しやすい、という声も多いんです。また子どもたちもこの公園でアバターという先進技術に触れ、今後はその進化の過程にも触れながら成長していけるでしょう。
豊中市に近い池田市で生まれ育った私にとって、大阪・千里のあたりは子どもの頃家族とよく過ごした思い出のエリアです。夏には千里阪急ホテルのプールに行った思い出もあります。
千里中央公園も、老いも若きも先進技術によるほっこりとした温かさにも触れながら、心安らぐ場所としてこの先何十年もの間、楽しんでいただける公園になればいいなと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2023年5月29日号