
先日の略語の企業名、ブランド名の記事が好評だったのに気をよくしてさらに調べてみると、略語が企業やブランドの正式名称になっている例が思いのほか多いことにビックリ! なかなか奥が深い略語の世界へ、さらに切り込んでみた。
◆IBM
アルファベット3文字、という略語なのが一目でわかるこの社名で広く知られているが、これは便宜上の略称で、正式社名は「International Business Machines Corporation」。アメリカ・ニューヨークに拠点を置くコンピューター関連の製品とサービスを提供する企業で、1911年に3社の合併により創立された「C-T-R(Computing-Tabulating-Recording Company)」が前身。アメリカからカナダに進出するにあたりInternationalを冠して使用した社名を元に、1924年に現在の社名に変更された。「日本IBM」(正式社名:日本アイ・ビー・エム株式会社)はその日本法人。なお2015年現在、IBM製のサーバ製品のブランド名は順次Lenovoへと変更が進められている。
◆Yahoo!
検索エンジンとしてすっかりおなじみの「Yahoo!(ヤフー)」。これが略語だなんて知らなかった……という人も多いのでは? 社名は、創業者のデビッド・ファイロ氏とジェリー・ヤン氏がYahoo!の元となるデータベースに名づけた「Yet Another Hierarchical Officious Oracle」(さらにもう一つの階層的でおせっかいな神託)の略だといわれている。さらに、英語の"yahoo"には、『ガリバー旅行記』に登場する野獣の名前と同じであることから転じて、英語で「ならず者、武骨な人」を意味がある。ファイロ氏とヤン氏がやや自虐的な意味合いも込めたとも、また、最後につけた感嘆符から「やった!」という意味に掛けているともいわれている。
◆SONY
AV機器の分野で高いブランドイメージを誇る「ソニー株式会社(Sony Corporation)」。前身である東京通信工業から、1958年に現在の社名に変更された。シンプルで、どこの国の言葉でもだいたい同じように読め、発音しやすいことを考慮してつけられた社名は、英語で音を意味する「SONIC」という言葉の語源となったラテン語の「SONUS 」(ソヌス)と、小さい、坊やという意味の「SONNY」を掛けあわせた造語だ。
◆YKK
高品質なスライドファスナーの生産で世界的に知られる非鉄金属メーカー「YKK株式会社」。国内で20、海外では71の国と地域に拠点を持つ、世界にその名をとどろかせるグローバル企業だ。しかし、その社名は創業者である吉田忠雄氏の名字から付けられた旧社名「吉田工業株式会社(Yoshida Kogyo Kabushikigaisha)」の"日本語ローマ字表記"の頭文字を取った略称。なんともドメスティックなところがむしろ誇らしい。
◆NAMCO
ゲームセンターなどのアミューズメント事業を運営する「NAMCO(株式会社ナムコ)」は、バンダイナムコホールディングスの完全子会社で、「旧ナムコ(現在のバンダイナムコゲームス)」から、アミューズメント部門と新規開発部門が独立する形で創立。社名は、「旧ナムコ」の前身である「中村製作所(NAKAMURA Amusement machine Manufacturing Co.,Ltd)」 の英文社名の略語であるようだ。
各企業の成り立ちもかいま見える社名には、その歴史の重みが感じられる。さらに飛躍して長く世界にその名を馳せるようになってほしい。