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  私立大学の人気をはかる尺度の一つに、一般入試の志願者数がある。ただし1人の受験生が同じ大学の学部・学科を複数受験することは珍しくない。たとえば三つの学科を併願した場合、「のべ」の志願者は3と数えるため、人数が膨らむ。そこで、週刊朝日は2018年から併願の影響を除いた「実志願者数」を調べている。

【ランキング表】私大人気のバロメーター「実志願者」の順位は?

 表は23年入試の「のべ志願者数」の上位49校を、「実志願者数」の順に並べ替えたものだ。(募集人数とのべ志願者数は大学通信提供)

 トップは明治大学。広報担当副学長・浜本牧子氏は「新教育棟の和泉ラーニングスクエアを22年3月に竣工するなど、施設面での教育・研究環境の整備を積極的に進め、都心のキャンパスという好立地を生かした産学連携の取り組みも活発化しています。こうした環境での学生生活を高校生から魅力に感じてもらえたのでは」と話す。

 のべ志願者数に比べて、実志願者数が大幅に少ない大学もある。大学関係者のなかには「のべ志願者数の多さは、実際の大学人気と必ずしも比例しないのではないか」という指摘もある。

 だが、のべ志願者数と実志願者数の差が大きいほど、併願制度が充実していて、受験生に様々なチャンスを与えている大学だともいえる。大学どうしがしのぎを削るなか、多くの志願者を確保できていることは、それだけ経営手腕が優れていることの証しでもある。

 例えば近畿大学は、同一学部内の他学科を併願できる方式などがある。千葉工業大学は同じ試験日であれば何学科併願しても受験料は1学科分とする「クロスエントリーシステム」などの方式を導入している。

 なぜ、私大は併願制度の充実に力を入れるのか。ある大学関係者は、辞退者が出ることを見越した動きだと指摘する。

「特に中堅大学は、最終的に合格者がどれだけ(併願先の)上位校に抜けてしまうかが読めません。そこで何回も併願できるような制度を用意しておき、合格者の母数を一人でも増やそうとしているのです」

※週刊朝日オリジナル記事

(本紙・松岡瑛理)