室井佑月
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 作家・室井佑月さんは、立憲民主党の入管法改正案や防衛産業強化法案に対する動きに異議を唱える。

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 入管法改正案は4月28日の衆院法務委員会で、与党と日本維新の会、国民民主党が提案した修正案を可決した。今、この原稿を書いている5月7日、翌日の8日は反入管法改正案のデモを起こすようだが、参議院でも数の力で押し切られるだろう。

 この流れで本当に良かったのか。立憲民主党でこの法案に関わっていた人は、水面下で政府・与党側と接触し公式協議をしていた。与党側もかなり譲歩し、難民認定を判断する「第三者機関」の設置検討を付則に記すなどの修正案を出した。これから国会でくり返しこの件が質問されれば、第三者機関の設置は、多分決まっていただろうな。

 修正案では、収容者の健康への配慮が、努力から義務になった。これだけでもウィシュマさんのような事件は防げたかも。

 しかし、立憲執行部は27日、修正を蹴って反対する方針を決定した。法案対応を決めるために開いた会合で、出席者から「不十分だ」「支援者に顔向けできない」など修正に反対する意見が続出したからだという(28日付・産経新聞より)。

 私だって、修正案がそのまま素晴らしいとは思わない。けど、原案よりはマシだ。それに、修正案に賛成しなければ、より酷(ひど)い原案が可決されることになる。

 立憲議員は支援者たちにその説明はした?

「今は苦渋の選択で賛成するが、今後、国会で修正しつづけることを私たちは諦めない」

 そういった説得をする気はなかったのか。

 支援してくれる人たち、デモに集まってくれるような善意の人たちに、野党議員らは、

「不甲斐(ふがい)なくてすまない。現状では、数の力により、この件は与党に押し切られることになる」

 という真実を伝えねばならないと私は思う。「いいや、デモに集まってくれる人だってそのくらいは知っている」、という考えなのかもしれないが、そうでもない。私は反原発も反秘密保護法のときも、本気でみんなで力を合わせれば覆せると信じた。入管法はこの国の大切な問題であるが、その二つより国民の関心が高いだろうか? 次の一手を考えず仲間をデモに突っ込み、疲労させるのはどうしてか。

イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 そうそう、立憲は政府が出した防衛産業強化法案に乗ることにしたらしい。これは、国が丸抱えで防衛産業をやるという法案。途上国に武器を売りつけようという魂胆。

 立憲、マジでなにも考えてないのか?

 倫理上というのはいうまでもないが、日本は情報通信、医薬品、再生エネルギー、蓄電池、電気自動車と自動運転、すべて世界の競争に負けている。なのに、それを決して認めず、防衛産業を伸ばそうって無理じゃね?

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

週刊朝日  2023年6月2日号

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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