
宮澤エマさんが初主演を務める舞台「ラビット・ホール」が4月9日に幕を開ける。「宮沢喜一元首相の孫」として芸能の世界へ足を踏み入れたが、当初から「歌とお芝居がやりたい」と希望していた宮澤さん。今の心境を明かしてくれた。
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「ラビット・ホール」は、4歳の一人息子を交通事故で亡くし、喪失感を抱えた若い夫婦が、人との対話の中でゆっくりと再生していく物語だ。07年にピュリツァー賞を受賞し、10年にはニコール・キッドマンの製作・主演で映画化もされた傑作戯曲である。エマさんは、主人公のベッカを演じる。
「大切な存在を失った経験は誰にでもあると思います。それを忘れることによって癒やされる部分もあるけど、でもその喪失感は、決して消えることはない。私が演じるベッカも、いろんな人に対してイラついて、それによってさらに傷ついていくんですが、そのヒリヒリした感じから、徐々に許しのようなものを与えられる瞬間が生まれていきます。『そう思っていいんだ』とか『自分だけじゃないんだ』とか、思わぬ形での慰めや癒やしのある、とても人間らしい物語なんです。『生きていると不思議なことがあるよね』って、言葉では説明できない感情の変化が舞台上で起こるような。昨日と今日が何で違うのかわからないけど、一生懸命はいつくばって生きていたら、長いトンネルから抜け出せたというような」