
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
1980年代アメリカの黒人を見る白人の冷えた視線の向こうにのぞく、少年時代の監督の複雑な気持ち。孫の良き理解者役が似合うホプキンス、息子に夢を託す母の微妙な心情を演じるハサウェイの地味な好演が心に残る。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
グレイ監督の分身である少年の孤立と苦悩を見れば、なぜ彼が近作で、社会から離脱してジャングルや宇宙の彼方に逃避する人物にこだわってきたのかがよくわかる。今でも答えを見出せないような原体験を掘り下げた力作。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
メッセージは最高に良い。特に若者に見てほしい。生きるうえで大切なことが学べる。この大人っぽくて丁寧な描き方だと若者は退屈に感じるのかもしれない。でもそれだと勿体ない。ホプキンスの存在感は圧倒的に良い!
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
コロナ禍でジェームズ・グレイ監督も今までの作品と違い自伝的作品を発表。登場人物への優しくも厳しい視点が的確で、祖父の描き方が秀逸。フェリーニの「青春群像」へのオマージュがラスト直前にあり、星一つ追加です。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2023年5月26日号