医師で作家の篠田達明さんは、著書『徳川将軍家十五代のカルテ』の中で、医史学者・服部敏良博士の「家康の死因は胃がんではなかったか」という説を紹介。その根拠としては、家康は発症前から食欲がなく、体が痩せてきていた点、侍医の触診でしこりに触れた点、そして亡くなったのは発症から3カ月も経過していた点を挙げています。



 もし、これが鯛の天ぷらによる食中毒であれば、もっと短期間で決着がつくはず。家康はかなり前から胃がんにかかっており、鯛の天ぷらは症状を表面化させたきっかけにすぎないだろうと推測しています。



 なお、家康はこのとき、激しい痛みやしこりを寄生虫のサナダ虫だと自己診断。侍医の診断に耳を貸さずに、自分の薬を服用していました。超健康オタクだったがゆえに、人生の最期で自ら誤診し、亡くなったのは運命の皮肉としか言えません。



 本書では、初代将軍・家康から始めて、最後の将軍・慶喜まで、15代の将軍を網羅して紹介。病歴以外にも人物エピソードも交え、楽しく読めるカルテとなっています。家康ほか徳川将軍の生涯を知る入門書として、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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