日本と同じく野球観戦がレジャーの1つである米国ではこのような事件が起こることはあるのだろうか……。

「日米で違いがあるとすれば、米国ではボールを取った大人のほぼ全員が子供に譲る。自身が捕球したことをアピールした後は、周囲の子供にプレゼントするのがマナーだ。それを行わなかった場合は場内から大ブーイングを浴びる。ネット上ではなく直接的にその場で非難される」(在米スポーツライター)

 特に相手が子供であればボールを奪い取ったり、譲ったりしなければ非難されるのは米国でも同様。しかし試合終了後もネット上において、これだけ炎上するのはレアなことだ。

MLBではスタンドから身を乗り出してボール捕球したことが問題になったこともあった。しかしスタンド内のファン同士の出来事が話題になったというのは記憶にない。子供から奪い取ったのならば良いことではないが、ここまで叩かれるのは行き過ぎと感じる。米国では考えられない」(在米スポーツライター)

 米国でファンが猛バッシングを受けた事例としては、2003年のナ・リーグ優勝決定シリーズ(カブスvsマーリンズ)での出来事が挙げられるだろう。1人の男性ファンがカブスの選手が捕球しようとしたファウルフライに手を出してしまい妨害。その後にカブスが逆転負けを喫してシリーズで敗退したことから、そのファンは戦犯扱いを受け徹底的にバッシングを受けた。

 この一連の出来事は“スティーブ・バートマン事件”と呼ばれ、今でも米国では有名だが、この時代は今のようにSNSなどは存在せず、今ならより強烈な批判にされていた可能性もあるだろう。

 かつてはプロ野球で試合を観戦する際は、多少なら“羽目を外す”ことも許された時代もあった。しかし、最近では球団がファンのヤジに注意喚起をしたりと、球場で正しい行動を求められる時代になっている。また誰もがスマホで動画を撮影して、それを拡散することもできる。今回の場合はテレビの中継映像が広まった形だが、球場での振舞い一つで炎上する可能性は誰にでも起こりえる。特にお酒を飲むことも多く、気が緩みがちな球場だとリスクは高まるだろう。

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球場で求められるのは“品行方正”な態度?