「部下を何とかしたい」「部下に成長してほしい」「自走する人材に変わってほしい」という悩みは、多くのマネジャー職が抱くものだ。しかし、著書累計50万部超の人気ビジネス書作家・浅田すぐる氏は「『部下は変わらないのが自然』という認識からスタートすべき」という。浅田氏の新著『あなたの「言語化」で部下が自ら動き出す 「紙1枚!」マネジメント』(朝日新聞出版)から一部を抜粋、再編集し、部下をもつマネジャーが抱きがちな悩み解消へのアプローチ法を紹介する。
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心理学やコーチングといった分野について学んでいると頻出するキーワードとして、「現状維持バイアス」「現状維持志向」といった用語があります。
ただ、だからといってこれから難しい説明をするつもりはありません。日常感覚で理解できる話ですし、仕事に活かすことが目的なら、むしろその方が実践的な学び方です。
たとえば、昨日の体温が36度だったとしましょう。
ところが、今朝起きたら40度になってしまいました。
ちなみに一昨日は30度で、3日前は50度でした。明日は何度になってしまうのかわからない……。
こんな調子で体温が毎日のように乱高下していたら、私たちはまともに生きていくことができません。
そこで、昨日も今日も、明日も明後日も、同じような体温でいられるように私たちのカラダはできています。
生理学的には恒常性維持機能(ホメオスタシス)と言われていますが、この用語の意味するところは、ここまでの説明で十分に理解できたはずです。
一方で、昨日は怒り狂っていたとしましょう。
ところが、今日は一転して、終始、泣きじゃくっていた。
では一昨日はどうだったかというと、朝から晩まで笑い転げていて、明日はどんな性格になっているか検討もつかない……。
こんな調子で心の状態がコロコロ変わっていたら、やはり私たちはまともに生きていくことができなくなってしまいます。