【※ネタバレ注意】以下の内容には、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
アニメ『鬼滅の刃』「刀鍛冶の里編」の放送が進み、鬼殺隊・最年少の「柱」である時透無一郎の過去が少しずつ明らかになっていった。幼少期の無一郎は、明るく温和な性格で、少し泣き虫な男の子だった。どう見ても、今の“毒舌キャラ”のイメージとはかけ離れている。鬼殺隊に入隊後の彼は、なぜあれほどまでにクールで辛辣になったのか。また、玉壺戦でこれまでのイメージをくつがえすほど、子どもっぽい「悪口」を言い始めた理由は何か。「上弦の伍」玉壺とのユーモラスな舌戦シーン、無一郎の過去、その後の彼の様子から、無一郎におとずれた“大きな変化”について考察する。
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■「霞柱」時透無一郎
鬼殺隊最年少の柱・時透無一郎は、刀鍛冶の里において、14歳とは思えぬほどの剣技を次々と披露した。彼の類いまれなる天賦の才は、他の柱たちからも感嘆されるほどである。
しかし、無一郎には大切な家族を立て続けに亡くした壮絶な過去があり、「鬼」と「血」にまつわる深い因縁を抱えていた。無一郎は寸暇を惜しみ努力を重ねて、たった2カ月で「霞柱」へと成長している。その鍛錬の過酷さは熾烈を極め、それに耐える無一郎の我慢強さもまた常軌を逸していた。
柱たちの中でも、平素の無一郎は極めて「無口」でミステリアス。過去の悲惨な戦闘が原因で、記憶の一部が欠落しているため、自分について語ることもない。たまに口を開くと、相手への配慮もなしに端的に事実だけを伝えてしまう「クセ」があった。無一郎は「日輪刀」(※鬼を滅殺するための武具)を作る刀鍛冶たちに敬意も払わず、まだ幼い刀鍛冶の少年にすら、厳しい発言をしてしまっていた。
「刀鍛冶は戦えない 人の命を救えない 武器を作るしか 能がないから」(時透無一郎/12巻・第102話「時透くんコンニチハ」)
しかし、彼の「毒舌」は、鬼の玉壺との「悪口合戦」という形で本領発揮されることになる。