丸亀製麺(写真/アフロ)
丸亀製麺(写真/アフロ)
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 うどんチェーン大手「丸亀製麺」で商品にカエルが混入する問題が発生した。購入客がSNSに動画を投稿して拡散され、会社側が後から事実を認めた形だ。近年、同じように飲食店での異物混入などのミスがSNSにアップされるケースが目立っている。ミスした側への厳しい意見がある一方で「やり過ぎ」との指摘も出ているが、飲食店関係者にはこの風潮はどう映っているのか。

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 カエル混入がネットで話題になったのは22日、SNSに投稿された動画が発端だった。16日に発売され、3日間で20万食が売れた持ち帰り商品「丸亀シェイクうどん」のカップに1匹のカエルが入っていたとするその動画は、瞬く間に拡散された。

 同社は23日、長崎県内の店舗で販売した商品について、カエルの混入があったことを認め謝罪。材料の野菜を加工する委託先の工場で混入したと判断し、「シェイクうどん」のうち生野菜を使う商品の販売を全国の店舗で25日まで休止。さらに25日には一部商品について当面の間、販売を中止すると公表した。

 カエル混入という異例の事態。だが、近年、飲食店の異物混入や注文と違う商品が来たなどのミスをSNSに投稿して拡散されるケースが相次いでおり、そのたびに「やり過ぎではないか」「店に直接言えばいい」などの声も出ている。

無関係なのに動き出す“第三者”

 飲食店関係者は、この風潮をどう見ているのか。

「飲食店はあらゆる作業工程で人の手が入りますから、ヒューマン・エラーは起こり得ます。仮に全工程を機械化できたとしても、何らかのミスが生じることはあるでしょう。カエル混入は視覚的にインパクトが大きかったですが、小さなミスでさえSNSに投稿され大ごとのように拡散されてしまう世の中は、飲食業としては非常に怖いです」

 そう話すのは、飲食業向けの法務を扱う石崎冬貴弁護士だ。飲食店から様々なトラブルや困りごとの相談を受ける立場だが、石崎弁護士自身もオーナーとして焼き肉店を経営している。

 石崎弁護士は、SNSで拡散されることにより購入者ではない多数の人から会社や店に苦情の電話が殺到するケースが過去にもあったとし、「苦情の件数によっては電話対応などで会社や店が機能不全に陥り、運営に大きく影響しかねません」と問題点を指摘する。

 店側のミスとは話は別だが、スシローで迷惑行為をした少年が通う学校に抗議の電話が殺到したことは記憶に新しい。SNSで情報が拡散されると、無関係のはずの数多くの第三者が動いてしまうこともあるのだ。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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