人は町を歩いている時、何を考えているのだろう。おそらく、何かを目にしては何かを思い出し、新しい何かを見つけては別の何かに考えをめぐらせているのではないだろうか。本書は歌人である著者の、そんな連綿とつらなる記憶と思考を集めた随筆集である。 「連弾」では、冒頭で幼い姉妹が「きらきら星」を連弾する様子が語られる。町の楽器店の前に立って、かつて観た映画の温かな記憶を抱え、著者はピアノが登場する別の映…
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人は町を歩いている時、何を考えているのだろう。おそらく、何かを目にしては何かを思い出し、新しい何かを見つけては別の何かに考えをめぐらせているのではないだろうか。本書は歌人である著者の、そんな連綿とつらなる記憶と思考を集めた随筆集である。 「連弾」では、冒頭で幼い姉妹が「きらきら星」を連弾する様子が語られる。町の楽器店の前に立って、かつて観た映画の温かな記憶を抱え、著者はピアノが登場する別の映…
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