※写真はイメージです (GettyImages)
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 週刊誌初の書評欄として、70年以上続いてきた「週刊図書館」が、「週刊朝日」休刊とともに休館する。年間、数万点もの書籍が刊行されるなかで、執筆陣の方々に「次世代に遺したい一冊」を選んでもらった。

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■『ロンドンで本を読む』(丸谷才一編著 マガジンハウス)

選者:作家・編集者・佐山一郎

 2012年に87歳で歿した文学者による軽快にして鮮やかな現代イギリス書評名作選。書評藝の見本帖とも言える全41本、三十余人の評者にはカズオ・イシグロ『日の名残り』を評したサルマン・ラシュディの名も。

 簡にして要を得た丸谷流名リード文の数々。だが初出誌である「SWITCH」と「鳩よ!」の功労も忘れてはいけないと思う。

 丸谷が愛した世界最古の英週刊誌『スペクテイター』(1828~)は今もなお世界水準の書評欄を堅持し続けている。

■『愛国者たち』(藤枝静男 講談社文芸文庫)

選者:文芸評論家・清水良典

 藤枝静男の小説はどの作品でも、なぜか頁の活字が鑿で彫られたようにくっきりと美しく見える。一冊選ぶなら『空気頭』か『欣求浄土』を推すべきだが、明治24年に起きたロシア皇太子暗殺未遂事件(大津事件)を描いた表題作を含む本書は、傍流と見做されがちであるゆえに敢えて挙げた。凶徒津田三蔵のドス黒い妄念、事件への国民感情のヒステリックな過剰反応ぶりを、傷口を切り刻むように描く筆致は、稀有な異才の紛れもない真骨頂だ。

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