毎週のように寒波が訪れるこの頃…
吹く風はとても冷たく、『寒風(かんぷう)』が身に沁みますね。
そんな冬の風ですが、代表的な『北風(または北西の季節風)』の名前も、地域によりいろいろあります。
『北風』は、ひとりではなかったのです。一体、いくつの名前をもっているのでしょうか?

冬の深まりとともに変化する最初の呼び名は…

冬が始まるなぁ~と、感じる風の名前は何と言っても『木枯らし(こがらし)』。最初に吹く『木枯らし』は、『木枯らし一号』と呼ばれてニュースにもなりますね。
この風は、「冬の到来を告げる、北または北西から吹く、木の葉を散らすほどの強い風」として『凩(こがらし)』と、一文字で表すこともあります。
情景が浮かぶ文字ですね。この風が吹くと、公園や並木道は一面、赤や黄色の木の葉色に染まり、木々は裸木(はだかぎ)となります。
そして、色を無くした街に吹く風は…

「北風」、「空っ風」、「ならひ」…

街が無彩色になったころ…北または北西からの季節風が猛威をふるいます。これが『北風』です。
同じように、冬の季節風に『空っ風(からっかぜ)』、『北颪(きたおろし)』、『ならひ』と呼ばれる風があります。
『北風』が大陸の冷たい高気圧から、日本の東海上の低気圧に向けて吹くのに対し、『空っ風』は太平洋側、主に関東地方に吹く乾燥した強い風であり、群馬県(上州)では、名物とさえ言われます。
『ならひ』は、同じ東日本に吹く風でも、主に海沿いに吹く風を呼びます。
そして、『北颪(きたおろし)』は、山から吹き下ろしてくる空っ風で、山の名前を付けて呼びます。
『赤城颪(あかぎおろし)』、『比叡颪(ひえいおろし)』、『六甲颪(ろっこうおろし)などはよく耳にしますね。他にも、『浅間颪(あさまおろし)』、『筑波颪(つくばおろし)』、『男体颪(なんたいおろし)』などがあります。

冬本番、北風とともに乾燥も強くなって現れる「鎌鼬(かまいたち)

ふとした時に、紙で切ったような鋭利なきり傷を見つけることはありませんか?
もしかしたら、それは『鎌鼬(かまいたち)』の仕業かもしれません。
はっきりとした原因は不明ですが、気象現象のはずみで、空気中に真空状態が生じ、その境目に触れて皮膚が裂けるのでは…と言われています。
信越地方に多く、昔の人はイタチに似た妖獣の仕業だと信じていたことから『鎌鼬』と呼ばれるようになりました。
北風や乾燥…
保湿が欠かせない時期です。のどあめや保湿クリームなどを欠かさずに、季節を乗り切りたいですね。