去場安(さりばあん)は25歳。明治4年、9歳のときに岩倉使節団の留学生として渡米、最高の教育を受けた後、20歳をすぎて帰国した。が、女子教育に専心したいという願いがかなわず消沈していた矢先、青森県弘前町の男爵家から伊藤博文経由で「娘の教育係になってほしい」という依頼が来る。令嬢の名は介良れん。6歳になるれんは、見ることも聞くことも話すこともできなかった……。 ちょっと待って。これってもしやヘ…

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