michitomoさん
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アイドルが来て歌うたび、michitomoスタジオのブースの壁は書き込みで埋め尽くされてゆく
「アップアップガールズ(仮)1st全国ツアー アプガ第二章(仮)進軍~中野サンプラザ 超決戦~」
チーム・負けん気「無限、Fly High!!」(通常盤)
アップアップガールズ(仮)《Beautiful Dreamer/全力!Pump Up!! -ULTRA Mix-/イタダキを目指せ!》(通常盤)11月4日発売

 話をうかがえばうかがうほど、その含蓄の深さと話題の広さに圧倒されてしまう。そして、「こういう好奇心にとんだひとだから、こんなに面白いサウンドが作れるんだ」と納得せずにはいられなくなる。

 お待たせいたしました。進行形アイドル・シーンの音楽面の核を握るひとり、作・編曲家、音楽プロデューサーのmichitomo氏への直撃取材の後編です。今回はまず、michitomo氏とアップアップガールズ(仮)の運命の出会いから。

<パート2  それが生(なま)ってもんなんだよ、一生懸命やってんじゃん。そこなんだよ、アイドルの素晴らしさって!>

――2012年2月、michitomoさんが作詞・作曲した《Going my ↑》を披露するアプガをご覧になって、どんな印象を受けましたか?

michitomo 僕はもうそのとき吉川(友)を担当していたんですが、彼女はやっぱりソロ・デビューできるだけのプロとしての資質を持っていた。アプガのパフォーマンスを最初に見たときは、「やっぱりそうなんだ(ハロプロエッグをクビになったわけだ)」という印象がありましたね。ハロー!プロジェクトは℃-uteさんとかBerryz工房さんとか、とにかくクオリティがずば抜けていますから。ただその時点でもう(アプガは)ハローではないんだから、自分なりにガツガツいってほしいし自由にやってほしいなとは思いました。でも、メンバーがそういう意識が持てるようになったのって去年の横浜BLITZ公演ぐらいじゃないかな。そして、この前の中野(サンプラザ公演)から、僕が思うに、ちゃんとグループとして進んでいけるようになった。それまではけっこういっぱいいっぱいのまま、四つん這いで歩いている感じがありました。

――僕も割とアプガのイベントやライヴを見ていると思いますが、毎回毎回、より凄くなっているような印象を受けます。だから次回も見逃せない、というのがあります。

michitomo 全員が、自分の意志を出せるようになってきた。あと、フィジカルな部分がどんどん成長している。アプガの楽曲は、体力をつけていかないと次から次へと歌えないし踊れない。そのステップを少しずつ踏んでったら、いつの間にかすごく高いところに登っていたという感じですね。気づいたら山のてっぺんにいるという(笑)。最初は踊りも途中でバテて、歌もへただったのに、ものすごい成長です。でもみんな、いい意味で根っこは変わってないですよ。仙石みなみは昔からテキトーなデタラメのかたまりみたいな感じで、その場を適当にいなす。僕は「頭の回転がすこぶる速いアホ」だと思ってます。

――仙石さんって新鮮ですよね、いつになっても新鮮ですよね。

michitomo キャリアも長いのに、こなれてきた感を出さないというか、そういう意味ですごいなと思います。古川小夏はとにかく歌えるようになりました。《Going my ↑》の頃って、ちゃんと歌えたのは佐保明梨と関根梓、仙石ぐらいだった。その3人とほかの4人の差がすごかった。古川はリズムも不安定だし、ピッチも取れないし、「がんばってるんだけど、へたくそ」だった。そこからどんどんうまくなって、去年の横浜(BLITZ公演)を超えたあたりから成長の度合いがよく見えるようになってきた。レコーディング中も、元気なあの感じですよ。一番しゃべりますね。だから雑談がなかなか終わらない(笑)。僕のしょうもないしゃべりにいちいち反応してくれるのは嬉しいですが。

 森咲樹は僕の中では良い意味で「ザ・普通の女の子」ですね。いじると、リアクションがいちいち普通でつまらなくて、でもそこがいいんです。自分では本気で面白いと思ってるみたいで、なんでこんなに面白いのにそう思われないんだろうって真剣に悩んでいるときもある。本当に普通のことしか言わないから、逆にアプガの中にいるとすごいキャラクターが立ちます。彼女の笑いのツボはどこなんでしょうね? MCでも全力で滑ってるじゃないですか。

――滑ったあと、熱狂的な森ティーファンのスタンディング・オベイションがあって。

michitomo こないだ、ライヴハウスツアー(「2014 Summer Live Tour Hot! Hot! Hot!」)のファイナルで、スタンディング・オベイションを見て最高だなと思って。なぜか悔しかったですもん、「森ティー、何おいしい思いをしてるんだよ」って。それを「応援してくれて嬉しい」って言っちゃう森ティーのズレた感じ(笑)。ただおいしいだけじゃないか、って。

 佐藤綾乃は去年の夏から弾けましたね。煽り隊長というポジションを得て、ステージでもお客さんの反応をより意識できるようになった。そこから歌に対する意識もだんだん良くなってきた。昔は歌も不安定だったし、ライヴでの自分の出し方もまだしっかりしてなかった。レコーディングのときは淡々としてますけど、ライヴのMCではどんどんしゃべるようになってきて、すごい着実に成長できてるなというイメージがありますね。

 佐保明梨はとにかく仕事が早い。歌がうまいから、すぐ終わる。出てきてから雑談してますけど、Recはいい意味で淡々としてますね。僕がボケても「ハイ」と応えるか、無視するか。

 関根梓は泣き虫から小悪魔キャラになって、それを軸にいろいろしゃべりもできるようになった。踊りながらやるMCも面白いなと思います。もともと歌はうまかったけど、まだまだ伸びますね。関根や佐保や仙石とは最初の頃から技術的な話ができました。最近は7人みんなに言えるようになりましたけど、最初の頃(ほかの4人に)言っても通じなかった。打てども響かないから、「いいよいいよ、OKだよ」と僕がハイテンションで言って。メンバーのテンションを落とさないようにしてました。

 新井愛瞳は比較的冷静に突っ込むタイプですね。「はい、いきましょう」「(ブースの中が)暑いからから早く終わりましょう」って。森ティーは「早く(ブースを)出たいんでしょ」って言ったら「そんなことないですよー」「じゃ出さないよ」「やめてくださいよー」っていうタイプ。いろんなキャラクターがいて面白いですよ。(つづく)[次回12/15(月)更新予定]

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