アプリの画面イメージ。温度や湿度の計測結果に基づいたカビの発生しやすさが一目で分かるようになっている
<br />(東京エレクトロンデバイス株式会社提供)
アプリの画面イメージ。温度や湿度の計測結果に基づいたカビの発生しやすさが一目で分かるようになっている
(東京エレクトロンデバイス株式会社提供)
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 台所や洗面所、お風呂場といった、温度や湿度が高い場所に繁殖しやすいカビ。放っておくとアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患の原因にもなる。普段から空気中に漂っているのだが、極めて小さいため、1カ所にとどまって繁殖し、目に見える状態にまで広がらないと気付けないのが悩みだ。そんなカビ対策に役立つシステムが開発された。

 東京エレクトロンデバイス株式会社(本社・横浜市)は、2014年11月5日、建物内の温度や湿度のデータを収集・分析し、カビの発生しやすさを通知する「カビ発生予報クラウドシステム Mold Forecast System」の開発を発表した。

 現在、神奈川県内のスーパーで実証実験を行っており、商品化のめどは、2015年1月ごろを予定。食品工場や病院、学校、住宅、マンションなどに向けて販売していくのだという。

 このシステムは、建物内の数カ所に設置したセンサーとそれらに連動するアプリとを組み合わせたもので、20~30平方メートルの広さにつき、センサー1個が必要になる。センサー3個とアプリのセットで価格は30万円程度を想定しているという。

 センサーから得られた温度や湿度のデータはインターネット上に蓄積され、このデータを基にカビの研究を行っている環境生物学研究所が考案した数式アルゴリズムを用いて、カビの発生しやすさを予測。専用アプリを通じてユーザーに予測を通知して、換気などカビの発生を抑える対策を取るよう促すという。

 専用アプリ(iOS/Androidとも対応)の画面では、カビの発生しやすさの予測を9段階の評価と顔のマークで確認することができる。例えば、「測定時の温度や湿度の状態が続いた場合、2カ月後には、9段階の評価のうち、最もカビの発生が心配される1番のレベルになる」ということを予測し、アプリでも確認できるようにする。

 このシステムは、遮熱塗料など環境素材も扱っている同社が、カビの発生による壁の張り替えなどといった建物の修繕コストを抑えられないかと考えたことをきっかけに開発したという。

 カビというと、じめじめした梅雨の時期に発生しやすいと思いがちだが、窓を閉め切って暖房をつけたり、洗濯物を部屋干ししたりして室内の温度や湿度が上がりがちな冬も危険という。このシステムが早く一般家庭にまで広まれば、お風呂場や台所の頑固なカビと戦わなくてもよくなり、より快適な生活が送れそうだ。