「格安スマホ」をご存知だろうか。「格安スマホ」とは、イオンやビックカメラやAmazonなどといった大手販売店や、So-netやU-mobileといったプロバイダ系企業によって提供されている、SIMフリーの携帯端末と、MVNO(仮想移動体通信事業者)と言われる格安SIMカードをセットにしたスマートフォンの販売形態である。
月額3000円程度で通信費用と端末を利用できるというのが最大のポイント。本来SIMフリー端末は一括購入という選択肢しかなく、そのため初期費用の高さがネックとなっていたが、この問題を上手くカバーしている仕組みというわけだ。
通信は、NTTドコモやauといった通信事業者と直接契約して行うのではなく、この2社の通信回線の一部をMVNOと呼ばれる通信事業者が間借りして行う。間借りした通信帯域から、一定の機能の制限を設ける形で、安い通信費用をユーザーに提供するというものだ。
例えばMVNO国内大手のb-mobileの例を取ると、NTTドコモの回線を使用して月額1560円で通信と通話が可能だが、反面無料通話分がなく、通信速度も200kbpsを上限としている。ドコモのサービスを直接利用するのと比べ、制限が大きくかかっている分、値段を抑えることができるのだ。
こうした中、MMDLabo株式会社(東京都渋谷区)は、携帯電話を所有している15歳以上の男女30835人を対象に、「2014年10月携帯端末購入に関する定点調査」を2014年10月16日から18日までの3日間にかけて行いその結果を公開した。
「格安スマホ」という言葉を知っているかどうかについてや、利用している通信事業者に関する内容が中心で、「格安スマホ」の認知度やスマートフォンの所有率、MVNOの利用の実態など3つにまとめられている。
まず、「格安スマホ」を「知っている」と答えたユーザーは75.1%にのぼった。「知らない」と答えたユーザーは24.9%にとどまり、その認知度の高さが浮き彫りとなった。
続いて、所有している携帯電話の種類について、「スマートフォン」か「フィーチャーフォン(いわゆるガラケーのこと)」かという問いについては、「スマートフォン」が59.0%、「フィーチャーフォン」が41.0%という結果となり、スマートフォンの所有率は2013年11月から8.1%増加していることがこの結果からもわかる。
利用している通信事業者については、「NTTドコモ」が41.2%、「au」が32.5%、「ソフトバンク」が22.2%となった。MVNOをメインで利用しているユーザーは1.6%にとどまった。
さらに、MVNO利用しているスマートフォン所有者457名の中で、利用している通信事業者の内訳を尋ねたところ、「その他」(32.6%)、「IIJ」(23.6%)、「OCN」(16.0%)、「BIGLOBE」(13.1%)という並びとなった。インターネットプロバイダーとして知名度のある通信事業者を圧して、「その他」が全体の約三分の一を占めているあたり、現在このジャンルの群雄割拠ぶりがうかがえるだろう。
ガラケーからスマートフォンに乗り換えたいけど、端末代と通信費が高くなるのが……とためらう声は依然少なくない。実際、「格安スマホ」を利用するユーザーは中高年層が一番多いようだ。近年スマートフォンの価格が上昇傾向にある中、「格安スマホ」の今後の動向が一層注目を集めそうだ。