ツアー初日は、大阪天六の古書店「ワイルドバンチ」でのライブ。ただいまリハ中。右が続木力さん。左は私。(撮影/清水紹音)
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アンコールの『鉄腕アトム』でミラーボールが廻った(((o(*゚▽゚*)o))) (撮影/中里佳世)

 あお~ん ついに原稿書きをツアーに持ちこしてしまったぜい。ということで、今4日(土)の朝9時、和歌山のビジネスホテルの一室で、二日酔いの朦朧とする頭を抱えながら、書いております。

 私の曲に《北風と太陽》という歌があるのですが(作詞も私)、冒頭の歌詞が ♪リハしてライブして盛り上がって打ち上がって酔いつぶれて寝るだけ~ と、享楽的なミュージシャンの一日の生態を描いて苦笑を買っていますが、まったくその通りな毎日で関西を巡演中。今日がなか日。本日はこの後チェックアウトして向かう先は、高野山の麓の「初桜酒造」さんでの酒蔵コンサート。調律前の鍵盤が麹でおおわれているなんて情報も入り、リハ前からすでにほろ酔い状態間違いなし。もちろん開演前にはワイワイ、ニコニコ試飲会もあり「このあと演奏ありますから」などと言って、お客様の御一献をお断りするヤボ天な私ではございません(≧∇≦) ということで、今書かなければいつ書くのよ、たにけん!

 それで、はい! 今回の「ほめちぎっ」ちゃう方は、「パリャーソ」というユニットで、今一緒に旅している相方のハーモニカ奏者の続木力。すでに多くのファンを獲得している彼ですが、まだ聴いたことがないという方はぜひライブにお運びください。小さくシンプルなハーモニカから出てくるとは思えないその豊かな表現力にたまげること間違いなし! 実は此奴、誰もが知る京都の老舗パン屋さん「S」の跡取り息子で(になるはずだった?)製パン技術を学ぶべく渡仏するのですが、10数年後に日本に戻ってきた時には凄腕のハーモニカプレイヤーとなって戻ってきたという剛の者。「パンはどないなったん?」「……食べるのは好きやで」(⌒▽⌒) という現在の心境らしいですが、将来何をしようか迷える現代の若者たちにとって、とてもいいエピソードだと思いませんか?

 数々の伝説を残す彼ですが、たとえばミラノではスリにあってしまい、パスポートもお金もとられ、仕方なくストリートで演奏して小銭を稼ごうとしていたら、そこは演奏禁止地区。逮捕されてしまった彼は取り調べを受けるのですが、そこでその署の署長がやって来て一言「なにか1曲吹いてみろ」。もういいや、と開き直った彼は得意曲をバリバリと吹くと、署長曰く「君が悪い人でないのはよくわかった。お金も少し用立てよう。でもあそこでもう演奏してはいけないよ。さあ行きなさい」と釈放。まさしくこれこそが「芸は身を助ける」。しかしその署長も粋だよなあ。ため息。

 おおっと、チェックアウト時間だ。では今日も元気に音楽しに行ってきま~す*\(^o^)/* [次回10/20(月)更新予定]

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