頭の中のアイデアを立体的に再現出来る3Dプリンターが注目を集めている。しかし実際に使ったことのある人はどのくらいいるだろう。専門的な職業などでない限り、普段の生活の中で3Dプリンターを使う機会はそうそうない。
それもそのはず。価格は数万円から数十万円と個人で購入するには高めな上、設計に使うソフトの知識や技術がないとデザイン出来ないなどの課題があり、「誰でも使いこなせる」仕組みにはなっていない。
そんな高嶺の花のような3Dプリンターだが、この度アメリカで、子どもでも簡単に、わくわく使えるカラフルな3Dプリンターが開発されたのだ。
それが、「世界で最もクリエィティブな子どもたちが、直感的に楽しく使える3Dプリンターを作ろう」という考えのもと、アメリカのMission Street Manufacturingによって開発された3Dプリンター「Printeer」だ。
「Printeer」は、iPadのアプリのみでデザインから印刷までを行えるので、難しい設計ソフトを使う必要はない。一般的な3Dプリンターは、設計ソフトで作成したデザインやダウンロードしたデータを、印刷出来るように変換するなどの手間がかかるが、「Printeer」なら、iPadアプリにデザインを描いてプレビュー表示し、印刷ボタンを押すだけでプリントできてしまう。もちろん、パソコンと接続すれば、設計ソフトなどで作成した複雑なデザインのものもプリント可能だ。
2014年7月10日まで、クラウドファンディングのKickstarterで資金を調達しており、初回生産分に間に合えば、529ドル(5万円弱)で1台購入出来るようになる。2014年9月をめどに、順次出荷される見込みという。
大きさは縦22.9センチ、横40.6センチ、高さ30.5センチで、重さは5.5キロ。完成形で、10センチ×15センチ×12.5センチまでのサイズをプリント出来る。
子どもへの安全性を考えて設計されており、不用意に中に手を入れたりしないように全体をクリアケースで覆っているほか、素材には非毒性のPLAプラスチックを使用。また、プリントの工程が観察しやすいよう、カラフルな部品を使っている。
アメリカでは、3Dプリンターを学校や図書館に設置するなど、教育現場への導入が進む。イギリスでも、中学校の授業で使うなどして教育に活用する動きが広がっている。日本でも、経済産業省が大学や高専高校への導入を支援する動きがあり、今後の展開が期待される。
大人が使ってもわくわくする3Dプリンターが、子どもの創造力や技術力を伸ばすのに役立つであろうことは容易に想像がつく、「Printeer」のような、誰にでも使いやすい3Dプリンターの普及はその動きを後押しするだろう。