かつてはもてはやされた、女性が結婚を機に仕事を辞め、家庭に入る“寿退社”。最近では、この言葉自体を知らない人も増えているのではないだろうか? 実際に会社で働く人たちの“寿退社”に対する受け止め方が、だいぶ変わってきている。
法律事務所の検索サイトなどを運営する日本法規情報(本社・東京都新宿区)が、20~70代の男女1109人を対象に「女性の寿退社に関する意識調査」を行ったところ、女性の約6割が「結婚後も働き続けたい」という意向を示した。また、実際の職場で女性が寿退社することになった場合の印象を「正直迷惑」と答えた人は約4割に上り、女性は「結婚しても働きたい」、周りも「働き続けてほしい」という風潮に変わりつつあるようだ。
調査は、2014年5月29日から6月12日にかけて実施し、男性409人、女性700人から回答を得た。調査結果によると、女性の場合、「(結婚して)子供が出来ても、退職するつもりはない」と回答した人が最も多く、32%だった。「寿退社するのはいいことだ」、「子供が出来るまでは、退職するべきではない」がそれぞれ28%で続き、「結婚せずに仕事を続けるつもりだ」(6%)、「結婚するが子供を産むつもりはない」(3%)、と答えたハイキャリア志向の女性が約1割を占めた。
現代の女性にとって、結婚は退社のきっかけにはならず、寿退社については否定的な意見が多いようだ。男性も、「結婚しても仕事を続けるべきだ」と回答した人が30%と最多で、「子供が出来るまでは、退職するべきではない」(19%)、「子供が出来ても、退職するべきではない」(17%)、「正直迷惑」(4%)といった回答と合わせると、寿退社に否定的な意見が7割を占めた。
また、同社が2014年2~3月に行った男性の育児休暇についてのアンケート調査では、育児休暇制度には約8割が“賛成”したが、同僚の育児休暇取得については、「迷惑だと感じる」という意見がほとんどだった。結婚しても、子どもが出来ても、仕事を続けるべきだという意見が大多数を占めたはずの男性陣だが、理想と現実の壁はまだまだ高いということだろうか。
一昔前は誰もが憧れた“寿退社”。現代の女性にとっての“寿退社”は、もしかしたら定年退職のことを指すのかもしれない。