
かつては日本中で見られた寝台列車が今や風前の灯火となっている。今年3月にJR東日本が上野と青森を結ぶ「あけぼの」の定期運行を廃止したのは記憶に新しいところだが、今度はあの豪華寝台列車がついに完全に廃止されるになった。
それは、大阪と札幌を結ぶ寝台列車「トワイライトエクスプレス」だ。バブル真っただ中の1989年に運行が開始されたこの列車は、フランス料理のフルコースや最後尾の大きな窓から車窓が眺められるスイートルームなど豪華な内容が話題を呼び、現在まで予約が困難なほどの人気を誇っている。
しかし、人気列車も老朽化の波には勝てなかった。車両は、旧国鉄時代に作られた古いものである上、片道約1500キロメートルの長距離走行を四半世紀にわたって続けたため、極めて過酷な状況にさらされてきた。運行を手掛けるJR西日本では、置き換え用の新しい車両を導入することはなく、運行そのものを廃止する方針を固めたという。
2年後に予定されている北海道新幹線の開業により、上野と札幌を結ぶ「北斗星」と「カシオペア」二つの寝台列車の廃止も検討されているだけに、鉄道ファンにとっては悲しいニュースが続いている。特に「北斗星」は最後のブルートレインということもあり、消滅を惜しむ声も多い。
寝台列車から新幹線となり、北海道へより速く移動できるようになることは時代の流れではあるが、そればかりでは旅情がなくなってしまうと感じるのは筆者だけだろうか。