『GOODBYE』CREAM
『GOODBYE』CREAM
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 ライヴ録音3曲、スタジオ録音3曲の計6曲で構成されたクリームの最終アルバム『グッバイ』のリリースは1969年2月上旬。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでその活動に終止符を打ってから、約2カ月後のことだった。

 前者は、スキップ・ジェイムスの《アイム・ソー・グラッド》、ジャック・ブルース/ピート・ブラウンの《ポリティシャン》、ハウリン・ウルフの《シッティング・オン・トップ・オブ・ザ・ワールド》。録音は、フェアウェル・ツアー8日目の10月19日、ロサンゼルスのザ・フォーラムで行なわれた。9分近いロング・ヴァージョンとなった《アイム・ソー・グラッド》が顕著だが、エリック・クラプトンがソロを弾いているあいだ、ブルースとジンジャー・ベイカーもほぼソロに近い演奏で彼に挑みかかり、まさに果たし合いのようなパフォーマンスが展開されている。

 後者は、クラプトンの《バッジ》、ブルースの《ドゥーイング・ザット・スクラップヤード・シング》、ベイカーの《ホワット・ア・ブリングダウン》(のちに《エニィワン・フォー・テニス》も追加)。録音は解散ツアー直前にロンドンで行なわれていて、3人が残していった音源をフェリックス・パパラルディがなんとかまとめ上げたということだったようだ(このあとマウンテンを結成する彼は、ベースやメロトロンなど演奏面でも貢献している)。

 どことなく寂しさの漂うアルバムであるが、誰よりもクリームの呪縛から逃れたいと思っていたクラプトンに関していうと、『グッバイ』は、これ以降しばしばライヴで取り上げられることになる《バッジ》を収めた作品という意味も持っている。《ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス》の返礼ということでもあったのか、ジョージ・ハリスンが作曲を手伝い、ルアンジェロ・ミステリオーゾの名前でギターも弾いた曲だ。ソングライターとしての成長のあとを示した曲でもあったわけだが、『グッバイ』収録のヴァージョンは、残念ながら、2:40ぐらいで、呆気なく終わってしまう。[次回9/10(水)更新予定]