※写真はイメージです (GettyImages)
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 春には早くも金融機関のキャンペーンが始まることが予想され、期待の高まる「NISA」(少額投資非課税制度)。「新NISA」と呼ばれ、非課税保有期間の無期限化や年間上限額の拡大など、多くのメリットが挙げられるが、投資信託を使った資産形成に詳しいファイナンシャルプランナー界の大御所、神戸孝氏に知っておくべき知識を聞いた。

【シミュレーション】積み立て型投資では値動きが大きな商品のほうが有利になりやすい

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 新NISAでは、元本保証がない投資信託を使った「長期・分散・積み立て」投資が基本になる。積み立ては毎月一定額で同じ投信を買い続ける。神戸氏によると、この投資法のいくつかの特徴を知っておくと新NISAの活用法が見えてくるという。

●ブレが大きいほど積み立て型投資では有利になりやすい

 投資のリスクは価格のブレを指す。何を投資対象にするかで個別の投信ごとにブレ幅が違うが、定額の積み立て型投資ではブレ幅が大きいもの、つまり値動きが大きな投信のほうが長期間投資すると平均取得価格が下がり利益が大きくなることがわかっている。

 ブレ幅(太線が上下に5千円、破線が同2500円)が違う2本の投信に月3万円で20年間、積み立て投資をしたらどうなるか、を神戸氏がシミュレーションした。ブレ幅が小さいほうは元本720万円(月3万円×12カ月×20年)が735万円にしかならないのに対して、ブレ幅が大きいほうは791万円にまで増える。

●下振れもあるから利益が出る

「損をしたくない」とは誰しも思うが、極端な話、「一時的には損をしてもいい」のが定額の積み立て型投資だ。投信の価格が下がると元本割れもあり得るが、毎月一定額で積み立てていると、その場合はより大量に投信が買えるようになる。一時的にはマイナスでも、安く購入できた分が平均取得価格を押し下げるので、次の値上がり局面での利益が大きくなる。

 神戸氏が行ったシミュレーションによると、積み立て型投資では投資期間の前半で価格が下がり、最終局面で上昇するほうが有利になる結果が出ている。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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