※写真はイメージです (GettyImages)
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「富裕層も関心を持ち始めているので、広がりが期待できると思っています」

【図表】「フル活用」しない手はない。「2024年からの新NISAの概要」はこちら

 こう話すのは、投資信託を使った資産形成に詳しいファイナンシャルプランナー界の大御所、神戸孝氏だ。とりわけこれまでの制度にはあまり関心を示さなかったお金持ちが心変わりしているという。

「『金額が少ないから、いいや』と話されていた富裕層の方が、『これはやったほうがいい。妻や子供の分も含めて口座を作る』とおっしゃるようになりました」(神戸氏)

 制度とは「NISA」(少額投資非課税制度)のことだ。非課税枠を筆頭に2024年から大幅に制度が拡充されることが昨年末に発表された。それから早3カ月、「新NISA」への期待は日増しに高まっているようだ。

 神戸氏が「広がり」に期待するのは、富裕層のお金が動くと日本人全体のお金の流れに影響を及ぼす可能性があるからだ。

「古くは1960年代の『マル優』(少額貯蓄非課税制度)が挙げられます。預貯金の利息が非課税になるというので、このときもまず富裕層のお金が預貯金に流れ、それが広がって今なお続く預貯金主流の時代になっていきました。今度の新NISAはその投資版になる可能性があります。長い間、掛け声倒れだった『貯蓄から投資へ』に向けて、ついに『山』が動くかもしれません」

 これには、もう一つ、これまた長い間、日本では忘れられていたインフレが戻ってきていることも背景にありそうだ。食料品を筆頭に物価はどんどん上がるのに預貯金では利息がほとんどつかないとなると、金融資産の価値が目減りしてしまう。資産防衛の面からも、運用益が見込める資産形成法が求められているのである。(本誌・首藤由之)

週刊朝日 2023年3月24日号より
週刊朝日 2023年3月24日号より

週刊朝日  2023年3月24日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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