代表選考でサプライズ選出された大久保嘉人選手。共にW杯出場を夢見て息子を励まし続け、昨年亡くなった父・克博さんへの愛情と、サッカーにすべてを捧げてきた熱い人生を語る初の自伝。
 小学校で早くもめきめき頭角を現し、サッカーの名門、国見中学に入るほどの実力だったが、家は食べるものに困るほどの極貧生活。両親は借金を重ねて息子を支えたという。
 克博さんは同僚と大ゲンカの末、会社を辞めたほど気性の荒い人で、母にもよく手をあげた。嘉人には優しかったが、弱音を吐くと「お前は、バカか!」と怒鳴りつけ、プロになったときも喜ぶより「天狗になるな」と厳しく釘を刺した。C型肝炎、肝硬変、肺気腫と次々に病に襲われた父の壮絶な闘病生活、自身も前回の南アフリカ大会出場後に燃え尽き症候群でサッカーができなくなったことなど、活躍の陰にあった苦しみも明かしている。
 自分の道は自分で決めろ、努力しろ、一番になれ。時にケンカしながらも、父から学んだものを忠実に守ってきた大久保選手のまっすぐさが、なんとも気持ちいい。

週刊朝日 2014年6月13日号

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