
「震災を直接知らない高校生や津波による被災体験がない人も、現地に行き、同じ角度でシャッターを押すだけでいい。そのときに以前撮影された写真を見て、自然と当時に思いをはせると思うんです。『発災当時、この写真を撮った人はどういう気持ちだったんだろう』って」(佐藤さん)
これまで撮影してきた定点写真は、展覧会で公開したり、書籍にまとめたりしている。また、県内外から参加者を募り、被災地を地元の人とめぐる「3.11オモイデツアー」も開いている。佐藤さんは力を込める。
「活用し続けて、様々な人の『関わり代(しろ)』を作っていきたい。そのためには新たな活用法を常に考え続けていくことが重要です。そうやって活用の『コツ』を考え続けていくことが、『震災の記憶』を未来に残していくために一番必要な条件だと思います」
(本誌・唐澤俊介)
※週刊朝日 2023年3月24日号より抜粋