これほど人間臭い小説があっただろうか。韓国の人気作家キム・ヨンスが描き出す7編の短編小説は、「自分が誰なのか、どこにいるのか、忘れてしま」っている登場人物たちによって紡がれている。 夢を追い切れなかった男、過去に犯した過ちで苦しむ老人、自分の成長と向き合えない少女。本書の登場人物は、過去によって苦しみ、現在に悩まされている人ばかりだ。「当惑、惨めさ、怒り、憎しみ」のような感情を心に抱き、自分…

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