3月13日からマスク着用が「個人の判断」とされる。今年度の卒業式では、「マスク外しが基本」の通知も。子どもや学校現場はどう受け止めているのか。AERA 2023年3月20日号の記事を紹介する。
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「みんなは、どうするのかな」
静岡県に住む中学3年の男子生徒は、「卒業式に出席する児童生徒と教職員は原則、マスクの着用は不要」とした文部科学省の通知を報じるニュースに、そんな思いを抱いた。
「コロナで始まり、コロナで終わる中学校生活を送ってきたので、マスクを外すことに抵抗を抱く友人も少なくない。そうしたみんなはどうするのだろう、と真っ先に考えました」(男子生徒)
同級生に意見を聞くと「マスクを外すのはいいと思うけど、外さない人も多いのでは」「周囲に合わせる」と考える人がいる一方で、「感染リスクがあるから外さない」「いまさら、顔をさらしたくない」という友人もいた。
3年間の中学校生活のなかで、マスクを外したのは給食の時間を除けば、文化祭と体育祭の本番、そして運動部の試合当日くらいだ。その度に細かく健康チェックをし、検温も欠かさなかった。だからこそ「なぜ卒業式のときだけマスクを外すよう促されるのだろう」という思いも拭えない。
「マスクをつけることがあまりにも日常化してしまった。マスクは礼儀であり、制服のようなもの。選ぶマスクの色によってその人の印象も変わるので“その人のカラーを表す制服”のような感覚もあります」(同)
■5月8日に「5類」に
新型コロナウイルス感染症の位置づけが、5月8日に現在の「2類相当」から「5類」に移行される。文科省は、4月1日以降、「学校ではマスクの着用を求めないことを基本とする」という方針だが、前倒しで、卒業式では児童生徒と教職員はマスクを外すことを基本とすると、2月に各都道府県の教育委員会に通知を出した(校歌斉唱や合唱時は除く)。厚生労働省は3月13日からマスク着用は個人の判断に委ねると発表した。マスク生活の終焉(しゅうえん)を感じる一方で、突然の決定に教育関係者や子どもたちからは動揺や戸惑いの声も広がっている。