「これこそがパッションなんだ!」会場が一体感で包まれた、グリーン・デイのイギリス・リーズ公演をレポート
「これこそがパッションなんだ!」会場が一体感で包まれた、グリーン・デイのイギリス・リーズ公演をレポート

 2016年9月から始まり、2017年1月からはヨーロッパ・ツアーを開催しているグリーン・デイの『Revolution Radio Tour』。今回は、イギリスのリーズで行われた公演の模様をレポートする。

グリーン・デイ イギリス・リーズ公演写真

 チケット発売とともに即ソールドアウトとなった本公演。3階まであるスタンド席を観客が埋め尽くすなか、クィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が流れ、メンバーが登場。割れんばかりの声援をビリーがお立ち台に上がり両手を広げて体全体で受け止める。トレのドラムビートにベースのマイクがジャンプで合わせ、「ノウ・ユア・エナミー」で幕を開けた。

 ファンの激情感、躍動感に興奮したビリーが、観客から小さな少女をステージにあげセッション。タータンチェックのパンツとロックTを身に纏った7歳のロック少女が、サビをビリーと堂々と歌唱し、観客を驚かせた。さらにビリーが「ステージダイブやってみる?」と問いかけ、「怖いよ」と後ずさりする少女を「大丈夫、みんな受け止めてくれるから」と言って背中に手を置くと、少女は爆音対策でしていたヘッドフォンを取り覚悟を決め、ビリーの「Go!」という合図で客席へダイブ。観客はそのダイブをしっかりと受け止め、クラウドサーフィンで観客の波へ戻って行く彼女にメンバー全員が両手を上げて激励した。その後もバンドと観客が一体となりステージをつくりあげ、「ロングビュー」ではファンの1人に1曲丸ごと歌を任せると、選ばれた男性は見事に音程を外さず歌い上げ、完璧なパフォーマンスで満員の観客を沸かせた。

 そして「ノウリッジ」では、ツアーではおなじみとなっているファンとのギターセッションを披露。選ばれたギター歴2年の12歳の少年に、ビリーがギブソン・レスポールのギターを渡し、コード進行を優しく少年に伝えると、すぐさまセッションがスタート。少年も1万人強の観客を前に物怖じせずプレイし、ロックスターさながらにギターを弾きながらビリーと花道を歩く。演奏を終えた後、ビリーが少年に出身地を尋ねると、ノッティングガムと答えた少年に会場からブーイング(もちろんジョークである)が起き、イングランドならではの光景が広がると、ビリーがすかさず「お前ら落ち着け!この子はまだ子供だ。優しくしようぜ」とフォローし、場を和ませた。最後にビリーからギターをプレゼントされた少年は、信じられないと言った表情で頭を抱え、しばらく自分の起きた状況を把握できていない様子に、会場は大きな拍手に包まれた。

 「キング・フォー・ア・デイ」の演奏後、照明が落ち、ビリーを筆頭にバンドメンバー全員が次々とステージに横たわると、ビリーが「この陰鬱な状況に耐えられない!」と天を仰いで叫び出す。さらに「うんざりなんだよ!嘘つきな政治家たちなんていらねー!あいつらはこの地球のガンだ。ここは俺の家だ!愛がここにあればいい。これこそが俺が求めていることだ。俺は全然(この状況に)満足できないんだ!何度もトライしてるんだけど、全く満足できないんだよ!」と続けると、そのまま天をしばらく見つめてからゆっくりと息を吸うと、ザ・ローリング・ストーンズの「サティスファクション」のサビメロを歌い出し、観客もそれに続いた。さらにビートルズの「ヘイ・ジュード」の出だしのワンフレーズだけを歌うと、うなだれるように仰向けに倒れたままのビリーを励ますように観客がステージに歌を投げかけた。観客が歌い、ビリーが「Jude Jude Jude Jude come」と合いの手を入れる。会場は割れんばかりの大合唱となった。

 ビリーが立ち上がり拳を握り「これだよ!これこそが俺がこの国を好きな理由なんだ!君らが感じたことは俺らも同じように感じる。これこそがパッションなんだ!」と告げた。それから演奏した新曲「スティル・ブリージング」から、アンコールの「アメリカン・イディオット」「オーディナリー・ワールド」「グッド・リダンス (タイム・オブ・ユア・ライフ)」は、グリーン・デイが今の世界各地で起きている不条理で困難なことに対するメッセージのようであった。

 セッションや合唱など、観客とともに一緒にステージを作り上げていた風景が印象的だったリーズ公演。熱狂的な観客で埋め尽くされた満員の会場は一体感に包まれ、ステージは幕を閉じた

Photo & Report : ERINA UEMURA


◎セットリスト
1. ノウ・ユア・エナミー
2. バン・バン
3. レボリューション・レディオ
4. ホリデイ
5. レターボム
6. ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス
7. ロングビュー
8. ヤングブラッド
9. アーミティジ・シャンクス
10. 2000 ライト・イヤーズ・アウェイ
11. ヒッチン・アライド
12. ホェン・アイ・カム・アラウンド
13. ウェイティング
14.クリスティ・ロード
15. バーンアウト
16. スキャッタード
17. マイノリティー
18. アー・ウィー・ザ・ウェイティング
19. セイント・ジミー
20. ノウリッジ (オペレーション・アイビーのカバー)
21. バスケット・ケース
22. シー
23. キング・フォー・ア・デイ
24. サティスファクション(ザ・ローリング・ストーンズのカバー) / ヘイ・ジュード (ザ・ビートルズのカバー)
25. スティル・ブリージング
26. フォーエヴァー・ナウ
- アンコール-
27. アメリカン・イディオット
28. ジーザス・オブ・サバービア
- アンコール-
29. オーディナリー・ワールド
30. グッド・リダンス (タイム・オブ・ユア・ライフ)

◎リリース情報
グリーン・デイ『レボリューション・レディオ』
WPCR-17515 / Warner Music JAPAN
2,300円(tax out)