日本がものづくり大国と呼ばれるようになって久しく、日進月歩で新たな技術が生まれています。そんな中、誰の目にも画期的に映り、日本人の好奇心をくすぐっているのが昨年から話題となっている3Dプリンターの技術です。
実はこの3Dプリンター、製造業で実用化されてからは既に四半世紀ほどになるといわれています。私たちの生活により身近なものとして感じられるようになったのは、つい最近のこと。特に昨年11月24日、東京・表参道に期間限定でオープンした世界初の3D写真館「OMOTE 3D SHASHIN KAN」の登場で、3Dプリンターという存在はより広く知られることになります。ここでは3Dプリンターを使い、自分にそっくりな3Dフィギュアを作れるという非常にユニークなサービスを提供し、大きな話題を呼びました。
どうして3Dプリンターは私たちにワクワクする気持ちを抱かせ、こんなにも好奇心をそそるのでしょうか。3Dプリンターに関するさまざまな書籍を手がける水野操氏は自身の著書『3Dプリンターで世界はどう変わるのか』の中で、その理由をこう分析しています。
ひとつが、その造形方法です。「3Dプリンターとは、薄い材料の断面を積み上げて物体を造形する工作機械」であるため、一見何もないところにみるみるうちに物体ができあがるように見えます。その様子はとても未来的で、子どもの目にはまるで魔法のように映るかもしれません。
そしてもうひとつが3Dプリンターの手軽さや簡便さにあります。実際、プリンターの大きさはせいぜい電子レンジや冷蔵庫といった家電製品程度で、本当に家の片隅に置くことができるサイズのものも登場しています。加えて造形するテクニックも必要なく、データさえあればボタンひとつで簡単に立体ができあがってしまうのです。
このような魅力を備え「第三次産業革命」ともいわれるこの3Dプリンターは、ものづくりの現場だけでなくさまざまな場面で活用が始まっています。検索サイトでおなじみのヤフーによる、次世代の新たなインターネットサービス「さわれる検索」もそのひとつです。これはインターネット利用法を、従来のように文字・音声入力によって情報を「見る」「聞く」ことから、情報を「さわる」ことに発展させたコンセプトモデル。専用の3Dプリンター機能の備わったマシンにキーワードを音声で入力することで、情報が立体で出力されるという仕組みになっています。活用の実例として、実際に9月20日から10月31日まで筑波大学附属視覚特別支援学校にマシンが設置され、視覚障害を持った子どもたちが90個以上の「さわれる」を体験したそうです。またヤフーはこのプロジェクトを通じて世界中から集まった3Dデータを公開。誰もが「さわれる検索」を利用できるよう、アプリケーションをオープンソース化することになっています。
他にも活用法次第でものづくりだけでなく医療などの現場でも活躍が期待される3Dプリンター。未来を3Dで"出力"できる夢のような世界は、すぐそこまで近づいてきているのかもしれません。
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さわれる検索
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