『E.C.WAS HERE』Eric Clapton
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『Crossroads 2: Live In The Seventies』Eric Clapton
『Just One Night』Eric Clapton
『Unplugged(DELUXE 2CD+DVD)』
『クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2013(Blu-ray)』

 わたしは、エリック・クラプトンの演奏をよく聴く。つまり、CDやDVD、あるいはレコードなどで聴く機会が、多いということだ。その理由は、もちろん、聴きたくなるからである。聴いていて気持ちがよいからである。

 では、クラプトンのたくさんあるアルバムの中で、どんなものをよく聴くか、ベスト3を考えてみた。

 一番多いのは、『E.C.WAS HERE』日本語タイトルは『エリック・クラプトン・ライヴ』だ。1974年、75年のライヴを集めたもので、ソロになってからでは、最初のライヴ・アルバムになる。ジャケットもかなりセクシーでよい。ブルースが中心であるのもよい。

 二番目はというと、『アンソロジー2:ライヴ・イン・セヴンティーズ Crossroads2』だ。これは、70年代のライヴを集めた4枚組。上の『ライヴ』と同時期の演奏も含まれる。ちょっと、マニア向けの企画かもしれないのだが、この時期のライヴが好きな方にとっては、無視できないのではないだろうか。

 三番目はというと、『ジャスト・ワン・ナイト~エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館』79年12月3日の日本武道館でのライヴだ。オープニングの《タルサ・タイム》から、ご機嫌だ。演奏場所が武道館というのも、うれしい。

 最後に、次点であげておきたいのが『アンプラグド~アコースティック・クラプトン』だ。このアルバムは、世界中で売れまくり、グラミー賞をはじめ、たくさんの賞に輝いている。間もなく発売されるDELUXE版は、CD2枚+DVDの豪華版。わたしは、まだ、見ていないのだが、DVDは、以前発売されていたものとは内容が異なり、リハーサル風景が中心のようだ。(先日、購入して確認したところ、DVDは、既存の発売のものと同じでした。失礼しました。)この世界に浸っていたい人には、おススメだ。

 さて、ここまできてお気づきだろうか、1~4のすべてがライヴ・アルバムであり、そのうち、上位3枚が、70年代の演奏ということだ。

 クラプトンは、1945年3月30日英国生まれだから、20代後半から30代半ばの演奏ということになる。

 今では古いアルバムばかりだが、いつ聞いても素晴らしい。未聴の方は、ぜひ、聴いてほしい。

 さて、エリック・クラプトンの経歴は長い。年齢だけでなく、紆余曲折の多い人生だったということだろう。

 10代でデビューし、63年に、ヤードバーズに参加、その名を知られるようになっていくが、65年にはバンドを去ってしまう。

 ヤードバーズは、その後、ジェフ・ベックやジミー・ペイジが参加し、伝説のバンドになっていく。ジミー・ペイジは、のちにレッド・ツェッペリンを結成することになる。

 その後、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク&ドミノスと、歴史に残るバンドを作っていく。

 クリームは、2005年に再結成ライヴをおこなっている。このときのライヴ、映像も残っているので見てほしい。できれば、ブルー・レイがオススメだ。

 ブラインド・フェイスは、1枚のアルバムで解散してしまうが、2008年に、スティーヴ・ウィンウッドとの再共演を果たしている。こちらも、ライヴ映像が発表された。これも、気に入っている。

 デレク&ドミノスでは、《いとしのレイラ》という名曲を残すが、スタジオ・アルバム1枚を出して解散している。後に、ライヴ・アルバムが発売された。こちらは、主要なメンバーが亡くなっているので、再結成はむずかしい。特に、ゲスト参加したオールマン・ブラザーズ・バンドの故デュアン・オールマンとの再演がかなわないのは、さびしい限りだ。

 このバンドを最後に、クラプトンは、バンドを作らず、ソロで活動している。

 クラプトンの人生といえば、薬物依存症があり、その後も、アルコール依存症で苦しんだことで知られるが、70歳になろうという現在でも現役で人気を維持しているのは素晴らしい。

 他にも、親友ジョージ・ハリスンの奥さんをくどいて、結婚したりと話題を振りまくが、そのたびに《レイラ》や《ワンダフル・トゥナイト》などの名曲を作ってしまう。心の葛藤もあったのだろう。

 再婚して、子供をもうけるが、その子が、幼くして亡くなってしまったときも《ティアーズ・イン・ヘヴン》という名曲を作っている。

 これらを見ても、クラプトンの音楽が、彼の人生そのものだとわかる。

 もうひとつ、クラプトンは、たくさんのミュージシャンと競演している。その代表的な活動が、クロスロード・ギター・フェスティヴァルだろう。

 エリック・クラプトン自身が設立したアルコールや薬物患者の治療施設へのチャリティ・コンサートとして、これまでに数回開催されている。多くのミュージシャンを呼んで、一緒に競演している。
 誰とでも合わせられるというのも、クラプトンの能力の高さゆえであろう。

 そういえば、わたしも、クラプトンのライヴは何度か見ているのだが、一番記憶に残っているのは、実は、サンタナのライヴでの出来事だ。
 2000年の春だと思うのだが、わたしは、日本武道館にサンタナのライヴを観にいった。そのとき、なんの前触れもなく、クラプトンがゲスト出演したのだ。どうも、好きなK1を見るために来日していたとのことだったが、アンコールも含め、数曲に参加していったのだ。
 カルロス・サンタナも含めバンドのメンバーがとても喜んでいる感じが、見ているこちらにも伝わってきた。

 エリック・クラプトン、いい人、なんだろうな、と思う。[次回10/23(水)更新予定]

■公演情報は、こちら
http://udo.jp/Artists/EricClapton/

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