「私自身もすごく追い詰められている気分になり、戻れなくなるような気持ちになったこともありました。海を見ながら原稿を書いたりもして」
昨年12月に出版すると、編集部には読者から熱のこもった感想が次々と届き、2カ月後には第5刷に至った。
記者にとっては、願ってもない反響だろう。けれども齊藤さんはすでに記者をやめ、今、仕事と並行してラクロスに取り組んでいる。就職してすぐ日本代表候補に選ばれたが、業務を優先しあきらめた。もっとさかのぼれば、大学進学の際、体育系の大学に行きたかったが、母の希望もあり、その道を選ばなかった。その悔いもあった。
「スポーツが好きだという気持ちに蓋をして生きてきたんですが、嘘がつけなくなったというか……。まずは自分を幸せにしなければ、他人を幸せにできないと思うんです」
それは、あかりが教えてくれたことでもある。
(編集部・大川恵実)
※AERA 2023年3月13日号