ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のぱんくんです。
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もうすぐ9歳になろうかというときにわが家にやって来た男の子「ぱん」は元供血猫。
幼い野良猫時代に交通事故にあい、病院に運びこまれた。そして、そのままそこでスタッフの一員となる。輸血の必要な猫に血を分けてやるという、まさに命をかけた大事な仕事を担っていた。
私は、その動物病院にパートとして働き始めたときに彼と出会った。以後、7年以上週2日会う間柄だった。そして、私がペット可のマンションに引っ越すのと同時に彼は引退し、家猫となった。
最初は少しとまどっていたようだが、それからの彼は変わった。
病院のときはほぼ見た記憶のない毛づくろいを毎日するようになった。慣れていないためか、体中べたべたになる。あの頃はほとんど聞いたことのない鳴き声も毎日聞かせてくれる。「こっち見て」「なでて」「遊んで」「もう寝よう」。こんなにもいろんな鳴き方ができたんだね。
一緒に寝ころんだり、ソファで一緒に昼寝をしたり。きみの熟睡しているところ、初めて見たよ。
そんな彼も12歳。あのとき病院に運んでくれた人に伝えたい。「見捨てないでくれてありがとう。気づいてくれてありがとう」と。
私には彼がうちに来てからずっと言っていることがある。「もっとわがまま言っていいんだよ」
8年近く病院のケージで暮らしてきた彼には「いいこ」すぎるところがある。やんちゃな姿を見せてくれるとうれしい。
病院のケージの扉の前で誰かになでてもらえるのをずっと待っていた姿を思い出すと切なくて、あの頃の思い出を塗り潰すくらいの幸せをこの子には味わってほしいと心から願っている。(愛知県岩倉市/47歳/主婦)
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※週刊朝日 2023年3月17日号