1974年生まれの著者が「同時代の大きな一角を代表している」と感じた人物へのインタビューを通して「今を生きる人の死生観はどうなっているのか?」を探る。
 ほぼ全てのインタビューは、現時点で何歳まで生きたいと思っているか? という問いから始まる。マンガ家の久保ミツロウが「不老不死になりたいんですよ!」と叫び、思想家の東浩紀が「とりあえず70くらいまで生きれればいいのかな」と答える。彼らの「死」に対するイメージは、まさに十人十色だ。
 東日本大震災という大きな「死」を伴う出来事に対しては、たとえばライターの雨宮まみが死者を悼みながらも「『30とか40とかで急に死ぬかもしれないんだな』って思ったら、自分が長生きすることに対して、自分を養ってきちんとした生活を送らなきゃいけないっていう責任を放棄できるような気がして」と、生きることのしんどさを吐露したりする。「死生観」がテーマの本と聞いて、命の大切さを説くものだろうと高をくくっていると、リアルな本音がぽんぽん飛び出してくる。その「油断ならなさ」が実に魅力的だ。

週刊朝日 2013年3月1日号

[AERA最新号はこちら]