タイトルを見て、ネットワークのサイバー攻撃をエゲツなくやってくる中国に対して、日米が手を携えて対抗している、というような内容かと思ったら、中国もロも米もそれぞれやってるから日本も気をつけろ、という話だ。別に中国だけの話じゃない。太平洋戦争の頃は、ABCD包囲網なんていって補給路を断って日本を追い詰めたりした。そんなことは国家間の争いで相手をイヤな目に遭わせたいとなれば当然考えることで、現在は「ネットワークがいろんなものの生命線になってる」から、そこを狙うというのである。
「これが国家によるサイバー攻撃であろう」と思われるもの(国家はサイバー攻撃をやったと公式に言わないので、状況証拠だけで「たぶんやってる」と想像される事例)も紹介されていて、「ネットが切断されて全機能マヒ!」させられたらどれだけ困るかが縷々説明される。で、そのサイバー攻撃は、プログラムをうまいこと外部から操作して、ふつうの人がふつうの操作をしていると、知らないうちにアクセスが集中してシステムをダウンさせる、というような方法の攻撃らしい。
かみくだいて言えば「何万人という人の家の電話に、勝手に政府への問い合わせFAXを発信するプログラムを仕込み、そのために電話がパンク……」というような攻撃、というかイヤガラセというか。以前、宅八郎は一人でこれをやってたが、サイバーテロはこれをプログラムにより大量のマシンでやる。科学は進歩するなあ。
ネットがつながらないと確かに困る。私のようにレンコンのゆで時間を調べたり……というような下世話な話ではなく、もっと大金が動く銀行のオンラインとか重要情報がやりとりされる政府のオンラインとかが切断されて国家規模でたいへんなことになるのだ!と著者は警鐘を乱打している。中国に限らず、アメリカでもロシアでも韓国でもそのへんの個人でも、いつでも警戒しとけよ、ということだ。まずは自分のパソコンの管理をしっかりしとけと。
週刊朝日 2012年11月9日号