―山上容疑者の母親は具体的にどのような活動をしていたのでしょうか。

「統一教会の信者獲得で、奈良市内をまわっていました。個別で家を回って食品を売るような活動にも参加していました。その頃は毎日、統一教会の活動で一日を費やしていたように思います。私も一緒に活動したことがありますが、『お悩みはございませんか』『私は救われましたので』と一生懸命に布教していました」

―「統一教会に家庭をめちゃくちゃにされた」というくらい献金を求められるのでしょうか。

「山上容疑者のお母さんは熱心でしたから。大きなお金も寄付されていたとなれば、家族は生活にも困ります。私も、いくらお金があっても足りないほど、いろいろな献金を求められました。お金を出さないと『地獄でご先祖様が苦しむ』『信仰が足りない、ますます不幸になる』などと責め続けられ、家に帰してもらえない」

―そんな状態になってもおかしいと思わないのですか。

「教えを信じ込んでいるので、世間の常識は通じません。私も脱会するまでには本当に苦労しました。お母さんのまわりには脱会をアドバイスするような親戚などはいなかったのでしょう。いつしか周りは統一教会の人しかいなくなる。そうやって、子どもや孫まで囲い込んでいくのが手法でした。だけど、山上容疑者自身はそうはならなかったようです」

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 山上容疑者の親族に旧統一教会との関係について聞くと、

「山上容疑者の犯行は絶対に許せません。ただ、母親が統一教会にのめりこんで、家庭がめちゃくちゃになったのは本当です。統一教会がなければこんな悲劇は起こらなかったと思います」。

 *  *  *

安倍晋三元首相が銃撃されたことについて会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長
安倍晋三元首相が銃撃されたことについて会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長

 一方、統一教会の田中富広会長は記者会見で、山上容疑者との関係について、

「山上徹也容疑者は、当法人の信者ではございません。過去も、当法人の信者であったという記録は存在しません」

 と話し、山上容疑者の母親については、

「当法人の教会員であり、これまでも1カ月に1回程度の頻度で教会の行事に参加しておりました」

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いくらお金があっても足りないほどいろいろな献金求められた