気象庁は、10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。3月もエルニーニョ現象が続いていたとみられます。今後、夏にかけてもエルニーニョ現象が続く可能性が高くなっています。
3月の実況
3月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より高い値で基準値との差は+0.8℃、エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の1月の値は+0.9℃でした。太平洋赤道域の海面水温は、インドネシア付近を除き、ほぼ全域で平年より高くなりました。海洋表層の水温は中部から東部を中心に広い範囲で平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年並みでした。このような海洋と大気の状態から、エルニーニョ現象は続いているとみられます。
今後の見通し
太平洋赤道域の中部から東部にかけて見られる海洋表層の暖水は今後東進し、東部の海面水温が平年より高い状態をしばらくの間維持すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、今後夏にかけてエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より高い値で推移すると予測しています。以上のことから夏にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高いとみられます。
西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況
西太平洋熱帯域:3月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後夏にかけては基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。
インド洋熱帯域:3月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後夏にかけては基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されます。
3月の日本と世界の天候への影響
日本:エルニーニョ現象時の特徴は明瞭には見られませんでした。
世界:フィリピン、インドシナ半島、インドネシア、インドの高温及びフィリピン、インドシナ半島の少雨はエルニーニョ現象時の特徴に一致していました。
エルニーニョ時の日本の特徴
エルニーニョ現象発生時の日本の春は、平均気温が、沖縄・奄美地方で高く、東日本では並みか高い傾向。日照時間は、西日本太平洋側で少ない傾向です。
夏は、平均気温が西日本で低く、北日本で並みか低い傾向。降水量は、西日本日本海側で多い傾向です。