この4人の暮らす家は、夢を追う芸人同士が切磋琢磨する「トキワ荘」だと思われていたのだが、そこで愛が育まれる「テラスハウス」でもあったことになる。

 伊藤とイワクラには共通点がある。それは、2人とも遅刻癖があるということだ。彼らの遅刻癖はバラエティ番組でもたびたび取り上げられている。イワクラは自分が遅刻していても相方の中野に対して強気な態度を崩さない。一方、長年キャバクラのボーイを務めていた伊藤は、場を収めるための言い訳と土下座が得意な軽薄なキャラクターを持っている。

 タイプは違うが、2人ともどこか不器用で、生きるだけで精一杯のようなところがある。そんな2人はカップルとしてお似合いであり、彼らの熱愛はお笑いファンにとっては心の底から祝福できる微笑ましいものなのだ。

 今年の秋には『キングオブコント』があり、冬には『M-1』がある。公私ともに充実している2人がここで結果を残すことができるのか。芸人同士のビッグカップルがますますお笑い界を盛り上げてくれそうだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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