■「柱らしい」蜜璃の矜持
刀鍛冶の里の戦いでは、炭治郎だけでなく、ともに戦う禰豆子と玄弥も、蜜璃の「長女らしい」包容力と「柱らしい」力強い言動に勇気づけられている。
「任せといて みんな私が守るからね」(甘露寺蜜璃/14巻・第124話「いい加減にしろ バカタレ」)
明るさゆえに、時には緊張感がないように見える蜜璃であるが、命をかけて死地におもむく彼女の覚悟は大きい。
「炭治郎君 今度また 生きて会えるかわからないけど 頑張りましょうね」(甘露寺蜜璃/12巻・第101話「内緒話」)
なにげない蜜璃の言葉から、彼女の「鬼殺隊の柱」としての矜持がうかがえる。そして、こんなにも強い柱でありながら、蜜璃は底抜けに明るいのだ。
■まわりを癒やす蜜璃の明るさ
のちに蛇柱・伊黒小芭内は、蜜璃にこんなふうに語っている。
「君と話していると とても楽しい まるで自分も普通の青年になれたようで幸せだった 他の皆もきっと同じだったよ 底抜けに明るく優しい君は たくさんの人の心をも救済してる」(伊黒小芭内/23巻・第200話「勝利の代償」)
残酷な戦いの最前線に立ちながら、蜜璃は「死の闇」を寄せつけない。蜜璃以外の8人の柱たちが戦う理由には、「身近な者の死」が関係していた。
鬼への報復を誓うしのぶ、無一郎、実弥。生き残ってしまった自分を責め、過去を悔いながら戦う、伊黒、宇髄、義勇、悲鳴嶼。死の病にあった母から「弱き人を助けなさい」と願われた煉獄。複雑な要因はまだ他にもあるが、彼らが強くなったのは、胸を切り裂かれるような誰かの死を経験してきたからだ。
蜜璃だけが違う。「私が私のままできること 人の役に立てること」を探し、自分らしく生きるために蜜璃は戦う。
■「強い柱」「強い姉」としての蜜璃
仲間たちの苦境を救い、華麗に「恋の呼吸」を繰り出す蜜璃の姿は、頼れる強い柱そのものだ。蜜璃の技を見た炭治郎が「もんげー」「カッコいい!!」と目を見はる様子はコミカルだが、このような“空隙”が生まれるのも、蜜璃の強さが本物だからだ。