アエラムック『大学院・通信制大学2023』
アエラムック『大学院・通信制大学2023』

 好評なのが地理情報システム(GIS)を運用した地域分析の方法だ。地理を手がかりに、位置に関する情報を加工して分析する技術で、20年度に受講した伊藤直子さん(62歳)も「GISを分析するスキルの有無で情報の質と量が違ってくる」と話す。伊藤さんは千葉県鎌ケ谷市認定の地域づくりコーディネーターを務める傍ら、NPO法人の管理者でもある。受講したきっかけは、資金の調達や運用の仕方を学びたかったからと話す。

「NPOを立ち上げて10年ほどですが、金銭管理がうまくできず、管理会計は参考になりました」(伊藤さん)

 受講生同士や、イベントなどで卒業生と交流する機会もあり、協働で活動に取り組む人もいるという。

■食の専門家を育成し経済効果を高める

 高知大学が「土佐フードビジネスクリエーター(FBC)人材創出事業」として開設しているのが、食品産業のリーダーを育成するプログラム「土佐FBC」だ。次世代地域創造センター長の石塚悟史教授は次のように話す。

「高知県は食材の宝庫ですが、生鮮食品がそのまま出荷されているのが実情。経済効果を高めるため、生産から加工、流通、販売と総合的なスキルを持つ人材を育てる必要がありました」

 食について総合的に学ぶ「BBコース」、必要な科目を選択する「部分受講コース」、21年度に県外からの要望に応えて増設された「オンライン受講コース」、研究開発人材育成の「Sコース」の4コースがある。授業は食品学、マネジメント、品質管理などの講義と、実験技術や企業と連携した現場実践学などで幅広いスキルを修得する。石塚教授は「食に関するカリキュラムを、これだけ総合的にそろえている講座はほかにないのでは」と胸を張る。食品加工関係者のほか、第一次産業、流通業、自治体、銀行など幅広い業種の社会人が参加している。同窓会組織もあり、コラボレーションして事業や販路を拡大したり、新商品を生み出したりしているという。 

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