社会で働き始めて、本当に身につけるべきスキルがわかってくる人も多いだろう。大学院はハードルが高いという人にお勧めなのが、「リカレント教育」として大学が提供している社会人向けの講座やプログラムだ。好評発売中のアエラムック『大学院・通信制大学2023』では、関西学院大学、千葉商科大学、高知大学、東北学院大学のリカレント教育プログラムでの取り組みを取材した。
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仕事のスキルアップ、キャリアアップのために、専門的なカリキュラムを学びたいという社会人が増えている。この社会人の学び直しのニーズに応えるべく、大学もさまざまなプログラムを展開している。
■女性の活躍を支援 女性リーダーを育成
関西学院大学では、専門職大学院経営戦略研究科が「ハッピーキャリアプログラム」を開講している。2008年度に「女性のキャリアアップ・起業コース」を、14年度には「女性リーダー育成コース」を開設。指導にあたる大内章子教授は、その背景を次のように話す。
「女性は出産や育児で退職する人が多く、復職したいと思ってもためらう人がいる。そういう女性に自信を持って働くために必要な学びを提供したかった。また女性は企業での教育訓練や配置転換の機会が少なく、男性と比べて経験やスキルが不足しがちで管理職に就くのが難しい。そこでリーダーをめざす女性を支援したいと考えました」
授業は現場で活躍している実務家とビジネススクールの講師が担当し、理論と実務の両輪で指導している。
「考える力を養う、実際の事例で思考訓練をするケースメソッド授業が特徴です。表面的なテクニックではなく、困難な状況に直面したときでも解決策を見出す力、意思決定する力を養います。たとえば企業で問題が起こったときに、解決するためにはどうしたらいいかを議論を重ねながら考えていきます」(大内教授)
21年に女性リーダー育成コースを受講した株式会社大塚商会営業本部の北山千夏さん(50歳)は、中堅・中小企業に経営支援サービスを提供している。