こういった事例が多いからか、2019年以降は甲子園未出場でも高い評価を得ている選手が増えている印象を受ける。佐々木朗希(大船渡→2019年ロッテ1位)や森木大智(高知→2021年阪神1位)のようなケースは別格と言えるが、堀田賢慎(青森山田→2019年巨人1位)、紅林弘太郎(駿河総合→2019年オリックス2位)、吉野創士(昌平→2021年楽天1位)、有薗直輝(千葉学芸→2021年日本ハム2位)などはその代表例と言えるだろう。
もちろん甲子園という注目度の高い舞台で大活躍できるというのは大きなアドバンテージではあるが、ベースとなる実力以上の評価がされてしまう危険性もあることは否めない。また、注目度が高くなるがゆえに過剰な指導や、ファンからの期待によって自分を見失ってしまうケースもあるのではないだろうか。そしてそんな要因を乗り越えられた選手が、一流になれるということも事実である。果たして今年の夏の甲子園がドラフト戦線にどう影響してくるのか。その点についてもぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。