福岡県警によると、今回逮捕された5人のうちの1人、自称無職の渡部秀規容疑者が昨年2月、窃盗の被害にあったと被害届を出したことが、今回の事件が発覚するきっかけだったという。

「渡部容疑者は、詐欺で得たとみられる現金を複数の貸金庫に隠していた。それを知っていた吉羽容疑者に1億5千万円を取られたと訴えてきた。なんでそんなにカネがあるのかと、捜査が始まった。当初、吉羽容疑者は一緒に逮捕した容疑者と一体だった。市議の肩書を使って信用させる役割。しかし、手法を覚えると自分でもやれると、仲間割れ。自分が中心となって元メガバンクの幹部だった知人たちを誘って手掛けるようになったとみられる。被害総額は数十億円。吉羽容疑者らが取った額もかなり大きいのではないか」(捜査関係者)

 WAMのホームページを見ると、

<当機構の新型コロナウイルス対応支援資金をかたる不審な勧誘にご注意ください>

 と詐欺まがいの行為に注意するよう何度も呼びかけていた。

 多額の手数料が必要だったり、半額の返済が免除されたり、などはないとしている。

 吉羽容疑者は逮捕前、支援者らに、

「疑われているが、セミナーなどに出席もしていない。カネも受け取っていない。何も問題はない」

 と潔白を訴えていた。

 福岡県警は、今回とは別の被害についても慎重に捜査を進める方針とみられる。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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