ヤクルトが大きな試練を乗り越え、リーグ連覇に突き進んでいる。
14カード連続勝ち越しと前半戦は快調に首位を独走していたが、7月に入り新型コロナウイルスの陽性判定で主力選手たちが大量離脱したことで勢いが失速した。月間成績7勝13敗と大きく負け越し。8月に入っても7連敗を喫するなど苦しんだ。この間に2位・DeNAが本拠地・横浜スタジアムで17連勝を飾るなど、一時は4ゲーム差まで接近された。「奇跡の逆転優勝」の機運が高まったが、直接対決で叩いて息を吹き返した。26日からのDeNA戦で同一カード3連勝。4番・村上宗隆が3連戦で計11打数9安打、4本塁打と爆発したことがフォーカスされるが、打撃不振で苦しんでいた山田哲人の活躍も大きな価値がある。1戦目に猛打賞、2戦目から2試合連続アーチを放つなど復調の気配をみせた。
「主将の山田はなかなか打率が上がらず苦しんでいた。村上の前を打つ不動の3番でしたが、8月上旬は1番、2番、6番と様々な打順を打たせていた。高津臣吾監督は何とか復活してほしいというメッセージを込めて起用していましたが、勝利に徹してシビアな一面も見られた。山田が相性の悪い阪神・青柳晃洋、広島・森下暢仁が先発で登板した際にスタメンから外した。山田だけでなく、サンタナも8月に入り調子が下降線をたどると、DeNAとの首位攻防戦で2試合スタメンから外すなど特別扱いしない。山田とサンタナでも状態が悪ければスタメンを外れる。高津監督の決断はチーム全体の緊張感、競争意識を高める意味でも効果的だったと思います」(スポーツ紙デスク)
控えの選手たちはチャンスをつかもうと必死だ。高津マジックがズバリ的中したのが、8月16日の阪神戦だ。今季2試合連続完封負けを喫している相手右腕・青柳に対して山田、オスナ、塩見泰隆と主力を外して左打者6人をスタメンに並べた。小技のうまい宮本丈を「5番・一塁」で起用した采配が吉と出る。2回先頭の村上宗隆が四球で出塁すると、宮本の犠打が青柳の悪送球を誘い、無死一、二塁とチャンスを拡大して3得点を先取。4回までに4得点を奪い、青柳をマウンドから引きずり降ろして快勝した。