日本は低用量ピルの解禁が1999年と、国連加盟国(当時189カ国)の中で承認が最も遅い国だった。多くの国で処方箋なしに手に入れられるアフターピルは、日本では医師の処方がなければ、いまだに手に入れられない。この国は、女性が主体的に避妊する行為を封じてきたといえる。一方で、子どもたちに避妊の知識を学ぶ性教育の機会は与えず、コンドームなしのセックスができる性産業があふれている現実がある。こういう環境で育てば、女性の体への想像力を欠如させたまま、セックスする権利(そんな権利はないのだけど)ばかり主張するモラハラ男になってしまう確率は、決して低くないのだろう。まだ30代前半の男性の傍若無人な女性虐待ぶりに(言い切ります)、この国が失ってきたものの大きさを思う。性教育を徹底的に潰してきた、故・安倍さんら、旧統一教会の影響を受けてきた政治家たちの罪の重さを思う。
性欲免罪。妊娠する行為をさんざんしておきながら、妊娠したとわかったとたんに「きついなー」と気軽に言えてしまう坂本選手の振る舞いや、そういうことが報道された後も何も反応しない巨人軍を見ていると、そんな言葉が浮かんでしまう。「昭和の時代には、こういう問題はよくあった」とか、この問題を「スポーツ選手の女性問題」という視点でコメントする人もいるが、これは「女性スキャンダル」ではなく、虐待行為、として語るべきだろう。
避妊をしないセックスを強いること自体(それを商売にすることも含めて)が虐待なのだ。その前提に立って、性欲免罪文化を終わらせたい。まずは日本を代表する男性集団である巨人軍に、女性の体の仕組み、生殖の知識、人権意識などを丁寧に教える性教育を採り入れることをおすすめしたい。